「通院や待ち時間の手間がなく、感染症対策にもなり患者のメリットが大きい」

JAとりで総合医療センター

  • 産婦人科

茨城県取手市にあるJAとりで総合医療センターは、茨城県南・千葉県北西部の中核病院として質の高い地域医療を担う総合病院です。産婦人科部長の梅木英紀先生に、昨今の新型コロナウイルス感染症拡大を踏まえたオンライン診療導入の経緯や今後の展望について伺いました。

オンライン診療を開始するという決定に至った経緯を教えてください。

オンライン診療に関しては、国の方で推進していたことは知っていましたが、対象疾患が限られていたり講習を受ける必要があったりとハードルが高く導入には至っていませんでした。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によって規制が緩和されると予測していたため、指針が改訂されたタイミングで導入を決意しました。

今回の規制緩和では電話による再診も対象ですが、なぜ電話ではなくオンライン診療を導入したのでしょうか。

電話は顔が見えないために患者さんの本人確認の点で懸念がありました。また、オンライン診療であれば検査の結果等を説明する際、画面を共有しながら説明できる点がメリットであると感じています。

コロナ禍でオンライン診療を導入するにあたって、どのようなメンバーでオンライン診療に関する検討を進めましたか?

新型コロナウイルスの治療等に当たるICT(感染症対策チーム)ではなく、私を含め4人の少人数チームでオンライン診療については検討を進めました。大人数での意思決定となると、どうしてもスピードが遅くなってしまいますので、各部署から少人数を集め、一旦ミニマムな意思決定を行い、適宜然るべき会議体での共有を行いました。

オンライン診療サービスのベンダーの選定や検討期間はどのようなものでしたか?

3月末ごろから検討を開始しました。実際にアポ等をとったのは41週目くらいで、 410日の厚労省からの事務連絡の前ごろです。クロン以外にも大手2社をネットベースで調べて、各会社の担当者に連絡し資料をもらって検討しました。その後、クロンのwebinarも受講し1週間ほどでクロンを導入することを決定し、20205月より一部診療科にて利用を開始しております。

オンライン診療システムについて、クロンに決めた理由を教えて下さい。

まず、導入費用が無料であるというのは大きな理由の一つです。オンライン診療を導入したが軌道に乗らず、ということもしばしば耳にします。また、このご時世で各病院、診療所も減収しており、その中で導入費用をかけるのは更にハードルが高いと思います。

もう1つは機能面です。他社と比較する中で、予約システムがあるか、問診機能があるか、といった条件をクリアしていました。電子カルテはオンライン診療と別にした方がセキュリティ面では良いと考えています。また、クロンの問診票はシンプルでわかりやすく、カスタマイズが利く点が良いと思いました。

実際にどのような患者さんにオンライン診療を活用されていますか?

今回クロンを導入してから、20206月時点で既に2名オンラインでの診察を終えています。お二人とも一度対面での診療にて診察・検査をしており、その検査結果をオンラインで説明するという形でした。今後の治療方針や、次回の受診方法、受診時期などについてお話しました。診察時間は5~10分くらいです。今回受診された患者さんは引越しで遠方に行かれたそうで、オンラインでの診療は助かるとおっしゃっていました。

オンライン診療のメリット・デメリットを教えてください。

オンライン診療は患者さんにとってのメリットが大きいと思います。通院や待ち時間の手間がなく、家にいて家事などをしながら待てるのは良いと思います。またコロナウイルスの影響を受けない点もメリットのひとつです。

デメリットは患者さんの準備が大変である点です。慣れてしまえば大丈夫ですが、実際次の診察をオンラインでできる患者さんに案内した時、了承を得られるのは1日に23人程度です。特に年配の方だと、アプリを入れるのが不安な方やクレジットカードを持っていない方もいらっしゃるので、50代くらいまでが対象かなという印象です。ただ、今後、スマホ世代が持ち上がってくると、シニア層の方々も対象になりうると思います。また、テレビで普通にインターネットに繋がる時代が来るとより多くの患者さんが対象になると考えています。

オンライン診療サービスに求める機能はありますか?

クレジットカード以外にもPayPay等の口座があれば使える決済方法を導入すれば、使いたい人が増えるのではないかと思います。また検査結果をオンラインで画像として送れる機能があるといいなと思っています。

今後のオンライン診療の展望を聞かせてください。

今はセレクトした患者さんに再診という方法でオンライン診療を行っていますが、一度来たことのある患者さんの再初診も対象になるのではないかと思っています。その後に初診も対象にしていくという流れを検討しています。

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