※本記事は、弊社が過去に開催しましたセミナーにて、伴先生にご講演いただいた内容に基づき作成しております。
阪急千里線の吹田駅から徒歩5分の位置にある伴医院の伴貞興院長に、クロン導入の背景やご感想をお伺いし、オンライン診療にかける期待と、オンライン診療が抱える課題についてもご教示いただきました。
オンライン診療を導入したきっかけをお聞かせください。
もともと、離島などでオンライン診療が実施されていること、また「高齢化社会」、「多忙なビジネスマン」、「遠方に住む患者さん」などへは、オンライン診療に対するニーズがあることも知っていました。電子カルテの導入でIT化の流れを感じていた時に、保団連(全国保険医団体連合会)のセミナーにて原聖吾先生のご講演でクロンの存在を知り、導入を検討しました。現代医療に乗り遅れないように心がけており、新しいことにトライしていこうという気持ちから、導入しました。
実際にクロンを利用されている患者さんのご様子はどうでしょうか。
高血圧と脂質異常症を併発している60代の男性患者さんがいらっしゃいます。この患者さんは、勤務先だった遠方の大学の付属病院で治療を受けていましたが、退職に伴い、より家に近い当院への通院に移られました。それでも多少通院に負担があったようで、オンライン診療に切り替えられてから「通院の負担が減った」と、とても満足されています。もともと自己管理もしっかりされている方でしたから、数値の方も安定しています。現在は高血圧を抑えるお薬や、中性脂肪を減らすお薬を30日分処方し、電話等再診料を算定しています。
クロンを利用してみて、どんなご感想を抱かれましたか。
オンライン診療で使用するウェブカメラは自分で設置しましたが、それ以外は特に初期費用も維持費も無く、使用した時の送料(薬を送った時の800円)のみで経済的でした。操作性もシンプルで使いやすい印象です。将来オンライン診療等はIT化の波に乗って普及することを感じており、クロンで練習していることは有益に思います。
また、現在通院中の患者さんは殆どが対面診療を希望されておられますが、今後オンライン診療を希望される患者さんがいた時に対応できる体制が作れている点は、当院にとってアドバンテージだと感じております。
現時点で、オンライン診療の課題だと感じる部分はありますか。
まず、オンライン診療の診療報酬点数が低く、医師の収入が少なくなってしまいます(オンライン診療料 70点/月、オンライン医学管理料 100点/月)。また、オンライン診療料を算定するには、緊急時に概ね30分以内に診察可能な体制が必要なことも、導入の敷居が高いと感じます。今年の診療報酬改訂後、定期的な医学管理の困難な精神科や小児科では、オンライン診療を中止される医療機関が増えており、オンライン診療ではなく電話等再診料を算定しているところも多いと聞いています。オンライン診療の制度については、今後も様々な修正がなされると考えています。
最後に、オンライン診療全般に関するお考えをお聞かせください。
オンライン診療サービスに対しては、目覚ましい医療の進歩が起きている現代において、社会のニーズに合った医療を提供するツールになってほしいと思います。単なる医療費削減の手段として使われて、日本の保健医療の崩壊をきたす物になって欲しくはないと願います。