リレンザとは?効果や使い方について薬剤師が解説
- 【読み】 りれんざ
- 【呼称】 -
※2024年2月時点の情報を元に作成しています。
リレンザ(成分名:ザナミビル)とは
リレンザは、グラクソ・スミスクラインから発売されているインフルエンザ治療薬です。粉末状の薬を専用の吸入器を使って口から吸い込むタイプの「吸入薬」で、インフルエンザウイルスの感染・増殖が起こる「気道」に直接作用させられるのが特徴です。
対象となる病気・症状
インフルエンザウイルスの増殖を抑制し、A型またはB型インフルエンザウイルス感染症の症状を改善します。
また、感染者との接触など感染の可能性が生じた際に使用することで、A型またはB型インフルエンザウイルス感染症の発症を予防する効果もあります。
リレンザで期待できる効能・効果
インフルエンザを発症すると咳、喉の痛み、頭痛、鼻づまり、熱っぽさや寒気、筋肉や関節の痛み、疲労感といった症状があらわれます。南半球、欧州で行われた臨床試験では、リレンザを使用した人の方が症状の回復が1日程度早くなることが示されています。国内で行われた臨床試験では、リレンザを使用してから症状が回復するまでの平均日数は4日で、リレンザを使用していない人と差がありませんでした。ただ、熱は早く下がる傾向がみられました。
インフルエンザを発症している人の同居人のうち、重症化のリスクが高いとされる65歳以上の高齢者や基礎疾患のある人では、ワクチン接種や感染予防対策の徹底に加え、リレンザなどのインフルエンザ治療薬を早い段階から積極的に予防投与することが推奨されています。18歳以上の医療従事者を対象とした臨床試験の結果、リレンザを予防的に使用した人のうちインフルエンザ陽性となった人の割合は1.9%でした。それに対し、リレンザを使用しなかった人では3.8%でした。
リレンザの使用方法
治療に使用する場合
・通常、成人・小児共に、1回10mg(5mgブリスターを2ブリスター)を、1日2回、5日間、専用の吸入器を使用して吸入します。
・発症後、可能な限り速やかに使用を開始することが望ましいとされています。症状発現から48時間経過後に使用を開始した患者では、有効性を裏づけるデータが得られていません。
予防に使用する場合
・通常、成人・小児共に、1回10mg(5mgブリスターを2ブリスター)を、1日1回、10日間、専用の吸入器を使用して吸入します。
・インフルエンザ患者に接触してから1.5日以内に使用を開始する必要があります。接触してから36時間以降に使用を開始した患者では、有効性を裏づけるデータが得られていません。
・感染予防効果は、リレンザを連続して使用している期間のみ持続します。
リレンザの使い方
吸入の準備
1. 「リレンザ」と書いてある面を上にしてカバーを外し、トレーを引き出します。
2. 白いトレーの両側グリップ(ギザギザ部分)を押しながら、トレーを取り外します。
3. 白いトレーの4つの穴に、薬のディスクの出っ張りがはまるようにのせます。
4. カチッと音がするまでトレーを戻します。
吸入手順
1. フタを垂直に立ててから戻し、ディスクに穴を開けます。
2. 吸入器を水平に保ったまま息を吐き、吸入口をくわえてから速く・深く息を吸い込みます。
3. 吸入器を口から外し、そのまま2~3秒間息を止めます。
4. トレーを引き出してから戻し、ディスクを回転させます。
5. 2回目も同じように吸入します。
吸入し忘れたとき
気づいた時点で1回分を吸入してください。ただし、次の吸入する時間が近い場合は1回とばして、次の時間に1回分を吸入してください。決して2回分を一度に吸入しないでください。
リレンザの使用上の注意
リレンザの副作用
頻度の高い副作用
以下の副作用が0.1%~1%の確率で生じる可能性があります。症状が重篤な場合には使用を中止し、医師に相談してください。
- ・皮膚の発疹
- ・下痢
- ・悪心(吐き気、むかつき)
- ・嘔吐
重大な副作用
稀ですが、以下の重大な副作用を起こす可能性があります。使用中に以下の症状があらわれた場合は、使用を中止し、すぐに受診してください。
- ・ショック、アナフィラキシー(皮膚の赤み、息苦しさ、嘔吐、意識朦朧など)
- ・気管支攣縮、呼吸困難(運動時の咳、息苦しさ、呼吸がヒューヒューする、胸の圧迫感など)
- ・中毒性表皮壊死融解症(TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑(皮膚や粘膜の水ぶくれ・ただれ、目の充血、皮膚の赤い斑点、発熱など)
- ・異常行動(急に走り出す、徘徊するなど)
リレンザの使用禁忌・併用禁忌
リレンザの有効成分(ザナミビル)に対して過敏症の既往歴のある人は服用できません。
添加物として乳タンパクを含む乳糖が使用されているため、乳製品に対してアレルギーのある人は注意が必要です。アナフィラキシーがあらわれたとの報告があります。
リレンザと他の薬との飲み合わせ
リレンザとの併用が禁止されている薬やサプリメントは特にありません。飲み合わせに注意を払う必要がないのがリレンザのメリットのひとつです。
【参考文献】
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001vftu-att/2r9852000001vg67.pdf
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/6250702G1028_1_23/
https://jp.gsk.com/media/7462/relenza-guide_202108.pdf
【執筆者】
薬剤師:大西真理
ドラッグストア併設調剤薬局の薬剤師。薬局長として薬局全体の管理、教育等に従事し、管理薬剤師としても活躍。広域病院から地域密着型クリニックまで幅広い内容の処方箋応需経験を持つ。
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