舌下免疫療法のメリット・デメリットは?効果や副作用についてまとめ

  • 【読み】 ぜっかめんえきりょうほう
  • 【呼称】 -

アレルギー性鼻炎の治療法として近年注目されている舌下免疫療法。他の治療法と比べてどのような特徴があるのでしょうか?今回はメリット・デメリットをまとめました。副作用などよくご質問いただく点も解説していますので、ぜひご参考にしてください。

 

アレルギー性鼻炎の治療方法

舌下免疫療法はアレルゲン免疫療法のひとつです。アレルギー性鼻炎は、花粉やハウスダストといった原因物質が体内に入り込んだ際に身体の免疫機能が過剰に反応して、くしゃみや鼻水、目のかゆみ、せき、瞼や唇の腫れといった粘膜症状が引き起こされるものです。舌下免疫療法は、アレルゲンを少量含んだ経口薬を1日1回1錠ずつ服用することで身体を徐々に慣れさせ、アレルギー反応が起こらないあるいは起こったとしても症状が軽微で済むようにする効果が期待できます。

 

スギ花粉やダニアレルギーに効果的

舌下免疫療法は、スギ花粉症とダニアレルギー性鼻炎(ハウスダスト)に対して効果があるとされています。これら以外のアレルギーに対しては現在、効果が認められていません。そのため、スギ花粉症またはダニアレルギー性鼻炎の確定診断が出た患者さんが受けられる治療法です。

スギ花粉に対してはシダキュア、ダニアレルギー性鼻炎に対してはアシテアやミティキュアという経口薬が処方されます。使用方法はどちらも1日1回1錠の服用で、舌の下に薬を置いて一定時間そのままにしておき、その後飲み込むというものです。

 

治療を開始する時期

スギ花粉症アレルギーの治療の場合は、スギ花粉を少量含む薬を使用するため、スギ花粉が飛散していない時期に治療を開始します。具体的には5月から12月上旬までが新規治療の受付期間となります。

ダニアレルギー性鼻炎は、特に季節性のものではないため通年で治療を開始することができます。

 

舌下免疫療法のメリット

舌下免疫療法のメリットをご紹介します。ほかのアレルギー性鼻炎の治療薬とはどのような違いがあるのでしょうか?

 

体質を根本から改善する

一般的なアレルギー性鼻炎の治療法は、くしゃみや鼻水、せき、目の腫れやかゆみといった、すでに発症しているアレルギー症状を軽減する目的があります。それに対して、舌下免疫療法は根本的な体質改善によって、アレルギー症状そのものが起こらないようする、あるいは発症しても軽微な程度に抑え込むという特徴があります。

アレルギー反応はほとんど起こらなくなれば、スギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎の不快な粘膜症状がなくなるので日常生活を落ち着いて過ごすことができます。ティッシュなどで頻繁に鼻や目をこするせいで皮膚が炎症を起こすこともなくなりますし、アレルギー治療薬を服用することによる眠気などの副作用もないので、QOL(生活の質)が改善できます。

 

クリニックに行かず自宅で治療可能

舌下免疫療法は、舌の下に薬を置いて、しばらくそのままにしてから飲み込むという治療法で、誰でも簡単にできます。そのため、初めての服用の際は医師の監督下で行うため通院が必要ですが、二回目からの服用は自宅で継続治療することができます。

1日1回、毎日服用する薬なので、クリニックに行かず自宅で行えると楽ですよね。通院するときの公共交通機関やクリニックの待合室で多くの人と会うと感染症の二次感染が心配なので、できるだけ通院は避けたいという方は少なからずいらっしゃいますが、舌下免疫療法ではその心配はありません。

ただし、経過観察のために定期的にクリニックに通院する必要はあります。二度目以降の薬については当院ではオンライン診療での処方も可能ですので、お気軽にご相談ください。

 

保険適用である

舌下免疫療法は保険適用の治療となるため、自己負担金を少なく抑えることができます。3割負担の方ですと、平均的に1カ月あたりの費用はスギ花粉症の治療で1,800円前後、ダニアレルギー性鼻炎の治療で2,000円前後が目安となります。通院の際は必ず健康保険証を持参してください。なお、この金額に医療機関ごとに診療費や検査代が加わります。

 

5歳以上の子どもも治療できる

舌下免疫療法は5歳以上65歳未満の方が治療対象です。アレルギー原因物質を特定するために血液検査を行うことが必要になりますが、小さいお子さんでもスギ花粉症・ダニアレルギー性鼻炎を治療できます。

また、「子ども医療費助成制度」の対象にあたるため、条件に該当するお子さんは実質無料で治療を受けられます。乳幼児・子ども医療証が必要になるので事前に申請しておきましょう。

 

舌下免疫療法のデメリット

続いて、舌下免疫療法にはデメリットがあるのでしょうか?見てみましょう。

 

長期間の治療が必要

舌下免疫療法の薬の服用は毎日、平均的に3年~5年ほど継続する必要があります。途中で薬を飲むのを忘れてしまったり、次の薬の処方を受けていなかったりして断薬期間があると、また最初から治療を開始しなくてはいけません。

 

副作用が起こる場合がある

舌下免疫療法で使用されているシダキュア、アシテア、ミティキュアという薬は、副作用を起こす可能性があります。唇や口の中の腫れ、かゆみ、のどの違和感、耳のかゆみなどの症状を訴える患者さんがいらっしゃいます。

上記の症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。後ほどご説明しますが、より重大な副作用が起こることもまれにあります。

 

利用できない人がいる

次に該当する方は、舌下免疫療法の治療を受けることができません。

・重症気管支喘息の方

・65歳以上の高齢者

・妊婦、授乳婦

・全身性ステロイド薬を使用している方

・悪性腫瘍、自己免疫疾患、免疫不全患者の方

・非選択的β遮断薬を使用している方

 

舌下免疫療法の副作用

舌下免疫療法では、重大な副作用として、アナフィラキシーショックが引き起こされる恐れがあります。

喘息のような呼吸困難、蕁麻疹や赤い発疹などの皮膚症状、嘔吐・吐き気、下痢、胃痛、視野の狭窄、血圧低下、意識の混濁といった症状が起こります。

アナフィラキシーショックが生じる頻度は非常にまれですが、まず医師の監督下で投薬を行うのはこうしたリスクに対応するためでもあります。

 

まとめ

アレルギー性鼻炎を体質から改善して治療できる舌下免疫療法。治療が長期に渡ったり、副作用があったりといったデメリットもありますので、ご自分のライフスタイルとあわせて、継続して治療が可能か考えてみてください。また、治療開始には医師の診断が必要ですので、まずはお気軽にご相談ください。

 

舌下免疫療法がオンライン診療に対応!

舌下免疫療法

 

【執筆者】


医師:木村眞樹子
都内大学病院で循環器内科および内科として在勤中。 内科・循環器科での診察、治療に取り組む一方、産業医として企業の健康経営にも携わっている。

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