精神科在宅患者支援管理料とは

  • 【読み】 せいしんかざいたくかんじゃしえんかんりりょう
  • 【呼称】 -

精神科在宅患者支援管理料とは

重度の精神疾患により通院が困難な患者に対して、保健医療機関の医師等が訪問診療を行った場合に算定できる診療報酬です。
平成30年4月の改訂で、精神科重症患者早期集中支援加算料にかわり新設されました。

定要件

精神科在宅患者支援管理料には3つの算定要件があります。

1.在宅で療養を行っている通院が困難な患者に対して、保険医療機関の精神科医師等が、患者または家族等の同意を得て、計画的な医学管理の下に、訪問診療または訪問看護を行っている場合に、単一建物診療患者の人数に従い、初回算定日の属する月を含めて6カ月を限度として、月1回に限り算定することができます。

2.在宅で療養を行っている通院が困難な患者に対して、保険医療機関の精神科の医師等が別の訪問看護ステーションの保健師、看護師、准看護師または作業療法士と連携し、 患者または家族等の同意を得て、計画的な医学管理の下に、定期的な訪問診療を行っている場合に、単一建物診療患者の人数に従い、初回算定日の属する月を含めて6カ月を限度として、月1回に限り算定することができます。

3.1または2を算定した患者の中で引き続き訪問診療が必要と判断された患者に対して、保険医療機関の精神科医師等が 、患者またはその家族等の同意を得て、計画的な医学管理の下に、月1回以上の定期的な訪問診療を行っている場合に、単一建物診療患者の人数に従い、精神科在宅患者支援管理料1または2の初回算定日の属する月を含めて2年を限度とし て、月1回に限り算定することができます。ただし、1または2を算定した月には、3を算定することはできません。

診療報酬

精神科在宅患者支援管理料1

別に厚生労働大臣が定める患者のうち、集中的な支援を必要とする者の場合
単一建物診療患者1人 3,000点
単一建物診療患者2人以上 2,250点

別に厚生労働大臣が定める患者の場合
単一建物診療患者1人 2,500点
単一建物診療患者2人以上 1,875点

精神科在宅患者支援管理料2

別に厚生労働大臣が定める患者のうち、集中的な支援を必要とする者の場合
単一建物診療患者1人 2,467点
単一建物診療患者2人以上 1,850点

別に厚生労働大臣が定める患者の場合
単一建物診療患者1人 2,056点
単一建物診療患者2人以上 1,542点

精神科在宅患者支援管理料3

単一建物診療患者1人 2,030点
単一建物診療患者2人以上 1,248点

精神科在宅患者支援管理料(情報通信機器を用いた場合)

100点/所定点数に加算

 

医療機関が訪問診療をしているか否か、別の訪問看護ステーションと連携しているか否か、また訪問の頻度によって算定基準が異なります。

別の連携した訪問看護ステーションの場合には、月に2回以上訪問していない場合には算定することができません。6ヶ月をすぎると、精神科医師が月1回訪問することで算定が可能となり、精神科在宅管理支援管理料1,2の算定を開始してから3の算定まで最長で算定開始から2年算定することができます。

その他の詳細や注意事項は、厚生労働省, 診療報酬の算定方法の一部を改正する件,令和4年厚生労働省告示第54号, 別表第一, P.208-209)の原文をご参照下さい。

算定対象の患者

通院が困難で在宅ですごしている重度の精神疾患を持つ患者
該当する患者は、
・1年以上の入院歴を有する者や、3ヶ月以内に措置入院または医療保護入院を繰り返す者
・統合失調症、統合失調症型障害もしくは妄想性障害、気分(感情)障害または重度認知症の状態で、退院時または算定時のGAF尺度が40度以下の者
のように規定されています。

また、令和4年度の診療報酬改定において以下が対象の患者に追加されました。

・ひきこもり状態または精神科の未受診、受診中断等が理由で、行政機関の職員による家庭訪問の対象となっている者
・行政機関の要請を受け、保険医療機関の精神科医が訪問し診療を行った結果、計画的な医学管理が必要と判断された者
・算定する日においてGAF尺度による判定が40以下の者

【参考文献】
情報は、2022年4月現在のものです。なお、算定要件の詳細については原文をご確認の上、ご自身の責任によってご利用ください。

・厚生労働省,診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知) 令和4年3月4日保医発0304第1号別添1(医科点数表),P.208-209
・厚生労働省,診療報酬の算定方法の一部を改正する件,令和4年厚生労働省告示第54号, 別表第一(医科診療報酬点数表),P.464-468

更新日:2022年4月6日(令和4年の診療報酬改訂に関する情報を追加致しました。)

 

【執筆者】


医師:木村眞樹子
都内大学病院で循環器内科および内科として在勤中。 内科・循環器科での診察、治療に取り組む一方、産業医として企業の健康経営にも携わっている。

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