アシテアダニ舌下錠(一般名:ヤケヒョウヒダニエキス原末及びコナヒョウヒダニエキス原末)とは

  • 【読み】 アシテアだにぜっかじょう100たんい・300たんい
  • 【呼称】 -

概要

アシテアは、ダニを原因とするアレルギー性鼻炎に対する舌下投与の減感作療法薬(舌下免疫療法薬)です。舌下免疫療法とは、アレルゲンを少量から繰り返し服用することによって体を慣らし、アレルギー性鼻炎等の症状を和らげる治療法です。舌下免疫療法の明確な効果発現機序は不明ですが、抗原特異的な抗体産生やT細胞応答の調節等の免疫学的変化によりアレルギー性鼻炎の症状が抑えられることが知られています。

アシテアの同種同効薬としてはミティキュアがあり、どちらもヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニ原末を50%ずつ含みます。両者の大きな違いは1錠に含まれるダニ抗原の量で、アシテアにはミティキュアよりも約5.7倍多くのダニ抗原が含まれています。副反応と治療効果との兼ね合いで、どちらの治療薬を使用するかが決定されます。

 

対象となる疾病・症状

ダニアレルギー

 

アシテアに期待できる効能・効果

効能・効果

ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する減感作療法

 

効能・効果に関する使用上の注意

・IgE抗体検査又は皮膚反応テストにより、ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎の確定診断を実施した後に投与を開始してください。

・ダニ抗原以外のアレルゲンに対しても反応性が高いダニアレルギー患者に対する有効性及び安全性は確立していません。

・1年以上投与しても効果がみられなかった患者に対しては、それ以降の継続投与について慎重に判断してください。

 

アシテアの服用方法

・通常、1回100 単位を1日1回舌下投与から開始し,1回投与量を100 単位ずつ、300 単位まで増量します。なお、漸増期間は原則として3日間としますが、患者の状態に応じて適宜延長されます。

・患者に指導すべき服用方法は以下の通りです。

  1. 錠剤を舌下に置き、完全に溶解するまで保持した後に飲み込んでください。
  2. その後5分間は、うがいや飲食をしないでください。
  3. 副作用がおこるおそれがあるので、服用する前後2時間程度は、激しい運動、 アルコール摂取、入浴などは避けるようにしてください。

 

その他の注意

・投与により喘息発作を誘発するおそれがあるため、重症の気管支喘息患者への投与は禁忌となっております。

・初回投与時は医師の監督下でショック、アナフィラキシー等の発現時に救急処置のとれる準備を実施した上で、投与後少なくとも30分間は安静にしてください。

・自宅での投与時(特に増量時)にアレルギー反応等が認められた場合には,増量の可否について医師に相談するよう患者等に指導してください。

 

アシテアの主な副作用

頻度の高い副作用

次の副作用が5%以上の頻度で生じる可能性があります。症状が重篤な場合には服用を中止してください。

・口腔浮腫,口腔そう痒感,口内炎

・咽喉刺激感

・耳そう痒症

・腹痛

 

重大な副作用

ショック、アナフィラキシー、咽頭浮腫・喉頭浮腫があらわれるおそれがあるので、観察を十分に行い、血圧低下、呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、蕁麻疹、喘息等の異常が認められたときには投与を中止し、直ちに適切な処置を行ってください。

※警告・禁忌を含む使用上の注意等は製品添付文書をご確認ください。

 

アシテアのオンライン診療との相性

アシテアを使用したダニアレルギーに対する舌下免疫療法は、アレルギー症状の有無にかかわらず数年間にわたり毎日継続して服用することで、体質改善(症状を長い間おさえる)を目指す治療法です。服用を長期に中断すると、それまでに得られていた治療効果が振り出しに戻ってしまうのが一般的なため、患者のコンプライアンス低下に伴う服用中断については、患者のQOL向上の観点からも、それまでに要した医療費用の観点からも大きな損失といえるでしょう。

また、薬剤は基本的に1ヶ月分ごとの処方となるため、治療期間中は長期にわたって頻繁に通院する必要があります。新型コロナウイルス感染症等の不安が継続する中で、アシテアの処方を受けるためだけに医療機関に受診することは控えたいという患者も存在するため、治療からの長期離脱が懸念されています。

アシテアを使用した舌下免疫療法の初診については、確定診断のためのアレルギー検査や初回服用における副作用発現状況の確認が必要なため、対面での診察が必要です。しかし、2回目以降の診察については、対面での診察以外にもスマートフォンやパソコンのビデオ通話機能を使用したオンライン診療を活用することで、症状や服用状況、副作用の発現状況等の確認が可能です。

このように、アシテアによる舌下免疫療法とオンライン診療を組み合わせることで患者の通院負担が軽減されるたけでなく、安全な服用や服薬アドヒアランスの向上にも貢献することが期待されています。

 

【参考文献】
アシテア 添付文書(2021年6月改訂 第6版)
患者向け資材「アシテアダニ舌下錠の治療を受けられる患者さんへ」(シオノギ製薬)

舌下免疫療法がオンライン診療に対応!

舌下免疫療法

 

【執筆者】


薬剤師:大西真理
ドラッグストア併設調剤薬局の薬剤師。薬局長として薬局全体の管理、教育等に従事し、管理薬剤師としても活躍。広域病院から地域密着型クリニックまで幅広い内容の処方箋応需経験を持つ。

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