服用薬剤調整支援料とは
- 【読み】 ふくようやくざいちょうせいしえんりょう
- 【呼称】 -
中央社会保険医療協議会(中医協)総会が2020年2月7日に開催され、2020年度調剤報酬改定の個別項目と点数について、厚生労働大臣に答申しました。
これにより、服用薬剤調整支援料1に加え、また令和2年度に診療報酬改定により服用薬剤調整支援料2が新設されました。以下ではこの2種類の調剤報酬について比較するとともに導入の背景についても考察していきます。
【概要】
2020年の改正により従来の服用薬剤支援料は服用薬剤調整支援料1となり、新たに服用薬剤調整支援料2が追加されました。
以下では服用薬剤調整支援料1をA、服用薬剤調整支援料2をBとして説明していきます。それぞれの算定条件の簡潔な比較ポイントは以下の表に記してあ るのでご確認ください。

さらに以下では、難解な点や細かな違いについて詳しく解説していきます。
【調剤報酬】
服用薬剤調整支援料1
125点/回
服用薬剤調整支援料2
100点/回
【算定要件】
服用薬剤調整支援料1、2について算定条件が異なるので以下で細かく解説していきます。
服用薬剤調整支援料1(A)の場合
Aでは6種類以上の内服薬(特に規定するものを除く。)が処方されていたものについて、処方医に対して、保険薬剤師が文書を用いて提案し、当該患者に調剤する内服薬が2種類以上減少した場合に、月1回に限り所定点数を算定 します。
減らした状態を4週間以上維持しなくてはならず、頓服薬、浸煎薬、湯薬は対象外になるように算定条件が厳しいため注意が必要です。
服用薬剤調整支援料2(B)の場合
Bでは複数の保険医療機関より6種類以上の内服薬が処方されていた患者について算定します。また、患者等の求めに応じて、当該患者の服用中の薬剤について一元的把握を行うとともに、重複投薬等のおそれがある場合には、重複投薬等の解消に係る提案を検討し、当該提案や服用薬剤の一覧を含む報告書を作成し、処方医に送付した場合に算定します。したがって重複投与解消に対する「結果」ではなく「取組」に対して評価されるので条件が厳しすぎる訳ではないとも考えられます。(実務上は、重複投薬の回避は疑義照会により薬を変更もしくは削除してもらうことが多く、薬局側としては削除の提案を行うことが多いようです。)
3ヶ月に一度しか加算できませんが100点という大きな点が付いているので積極的に取り組むと良いと言われています。
それぞれの違いについて
服用薬剤調整支援料1(A)に比べて服用薬剤調整支援料2(B)は算定に至るプロセスが複雑ではありません。
またそれだけでなく、Aは文書の様式指定がありませんが、Bは指定された様式で文書を作成し、医師へ送付すれば良いとされています。
さらに、Aは必要事項を薬歴へ記載・添付する必要があるのに対して、Bは送付する文書を薬歴へ添付するだけで良いとされています。
その上、Aは必要事項をレセプト摘要欄へ記載する必要があるのに対し、Bは必ずしも記載の義務はないといった違いがあります。
服用薬剤調整支援料2(B)が導入された背景
導入されたきっかけとして考えられているのは2017年2月に日本医師会が公表した「かかりつけ医機能と在宅医療についての診療所調査」の調査結果であると言われています。これによると、患者に処方されている全ての医薬品情報を管理できている診療所はわずか19.7%であり、その管理が医師にとって負担の大きい業務であることも併せて公表されました。この結果を受けて、薬局から医療機関に分散している情報を提供すれば、医療の質の向上や医師の負担軽減につながると考えられたために改定が行われたと考えられます。
また、これに伴って今後も 複数の医療機関からの処方を一つの薬局で管理するという試みが継続されると考えられています。
【まとめ】
・服用薬剤調整支援料は従来の服用薬剤調整支援料1と新たに追加された服用薬剤調整支援料2からなる。
・算定において2種類の服用薬剤調整支援料の上で記したようなそれぞれの細かな違いについて注意しないと申請できない。
・今後、定期的に行われる調査の影響を受けて必要に応じて調剤報酬に改定が加えられると予想される。
[参考]
【監修薬剤師】

薬剤師:大西真理
ドラッグストア併設調剤薬局の薬剤師。薬局長として薬局全体の管理、教育等に従事し、管理薬剤師としても活躍。広域病院から地域密着型クリニックまで幅広い内容の処方箋応需経験を持つ。
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