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電子薬歴とは

  • 【読み】 でんしやくれき
  • 【呼称】 -

薬歴は従来より紙媒体で記録されてきましたが、IT化の流れにより電子化して記録する方式を導入する薬局が増えてきました。以下では、電子薬歴とは何かに加えその概要について説明していきます。

 

※この情報は2020年11月時点での情報です。制度などの情報については必ず公式発信情報をご確認ください。

 

【概要】

薬歴とは、正式には「薬剤服用歴」と呼ばれています。

これは薬の調剤に関する患者情報を集積したもので、適切な服薬指導や、薬の適正使用には欠かせない資料です。また、調剤報酬請求の根拠ともなっている記録でもあります。

従来は紙で管理されていた薬歴を、電子的に記録したものが電子薬歴です。

 

電子薬歴の普及率は?

厚生労働省が公表している「かかりつけ薬剤師・薬局に関する調査報告書」によると、電子薬歴は7割以上の薬局で普及しており、多くの薬局ですでに活躍している状況にあると言えます。また以下でも説明していくように、数多くのメリットが存在するため、今後ますます導入が進んでいくことが見込まれます。

 

電子薬歴の注意について

薬歴などの重要な医療データを電子化して保存する際に守らなくてはならない「電子保存の三原則」というものが存在します。これらは真正性、見読性、保存性の三つを指します。これらについて以下で項目別に詳しく見ていきます。

 

真正性とは?

厚生労働省によると「真正性とは、正当な人が記録・確認を行った情報について、第三者にとって作成の責任の所在が明確であり、かつ、故意又は過失による虚偽入力・書換え・消去・混同が防止されていることである。」と定義されています。

これは改ざんや偽造などが禁止されており、かつ誰がそれを記入したかわかるようにしておかなくてはならないということです。電子薬歴では一般的に、薬剤師ごとにログインIDが割り当てられており、個別の薬歴をどの薬剤師が記入したのかが分かるようになっています。また、薬歴を修正した際には、修正された日付や時刻、修正者の氏名が記録されるので、第三者による書き換えを防ぐシステムがとられています。

 

見読性とは?

同様に、厚生労働省によると「見読性とは、電子媒体に保存された内容を、要求に基づき、必要に応じて肉眼で読み取れる状態にすることができることである。見読性とは、本来「診療に用いるため支障がないこと」と「監査等に差し支えないこと」を指し、この両方を満たすことがガイドラインで求められる実質的な見読性の確保である。」と定義されています。

これはつまりデータの内容が目で見てきちんと読める状態であるということを指しています。

 

保存性とは?

同様に厚生労働省によると「保存性とは、記録された情報が法令等で定められた期間にわたって真正性を保ち、見読性が確保された状態で保存されることをいう。」と定義されています。

これはつまり上記の2つを満たした状態で薬歴が一定期間保存されることを指します。

 

 

電子薬歴のメリットは?

電子薬歴では、紙薬歴に比べて多数のメリットが存在します。以下ではシチュエーション別に電子薬歴のメリットについて解説していきます。

 

受付時におけるメリット

薬歴を探すのに時間がかからないだけではなく、紛失などの問題が起こりません。また、情報の検索や共有が早いといったメリットも存在します。

 

調剤時におけるメリット

医薬品のデータベースを利用することでワンクリックで薬の添付文書を見ることができます。服薬指導時に患者を待たせずに済むので、積極的な情報提供につながります。

また、併用禁忌や、体質、基礎疾患に基づく使用禁忌についてのチェックがすぐにできるため、不適正な薬の使用が原因で起こる危険な事態を防ぐことができます。

 

薬歴の記入時におけるメリット

定型文の入力などにより、紙薬歴に手書きするよりも、入力にかかる時間が短縮される場合が多いとされています。また、患者の名前や保険番号などの基本情報については、レセコンから取り込めるので調剤報酬請求上のミスも減らすことが可能です。

 

服薬指導時におけるメリット

入力形式に一定のルールがあるため、薬剤師ごとの薬歴の内容をを一定に保つことができます。

 

電子薬歴のデメリットは?

上記のように、電子薬歴にはメリットがたくさん存在するものの、デメリットも存在します。

デメリットとしては電子薬歴の使い方を新たに習得しなければならないこと、端末購入やネットワーク構築のコストが一定金額かかることなどがあげられます。

このように薬局への一定の導入負担はありますが、電子薬歴は患者の服薬情報の一元的・継続的把握を容易にし、かかりつけ薬局としての機能を果たすためにも重要なツールであることから、厚生労働省も薬局に電子薬歴の導入を検討するように推奨しています。

 

【まとめ】

・電子薬歴は、紙管理されていた薬歴を電子的に記録したものです。

・薬局側への一定の導入負担はあるものの、薬剤師の負担軽減や、患者に提供できる情報の質が高まるなど多くのメリットがあることから、電子薬歴の導入が推奨されています。

 

【監修薬剤師】

薬剤師:大西真理

ドラッグストア併設調剤薬局の薬剤師。薬局長として薬局全体の管理、教育等に従事し、管理薬剤師としても活躍。広域病院から地域密着型クリニックまで幅広い内容の処方箋応需経験を持つ。

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