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在宅患者訪問薬剤管理指導料とは

  • 【読み】 ざいたくかんじゃ ほうもんやくざいかんり しどうりょう
  • 【呼称】 -

※この情報は2021年9月時点での情報です。制度などの情報については必ず公式発信情報をご確認ください。

 

【在宅患者訪問薬剤管理指導料とは】

 

保険薬局で算定できる

在宅患者訪問薬剤管理指導料は、在宅医療において薬剤師が患者に対して居宅で薬剤指導を行うと算定できるもので、保険薬局、保険薬剤師が算定するものです。薬剤師が医師の指示に基づき行い、薬学的管理指導計画を作成して指導を行います。

在宅医療が普及するなかで、患者を中心とした医師や看護師、薬剤師、その他多職種によるチームでの医療がこれまで以上に重要になっています。在宅医療を受ける患者は高齢者が多くを占めますが、認知機能、身体機能の低下に伴い薬の管理が難しくなってしまうケースや、剤形によって服薬が難しいなど、薬に関する問題を抱えることが少なくありません。複数の医療機関を受診し、複数の薬を内服している場合など、訪問介護員が介入していても薬の管理については自己管理とされ、整理がつかない状態で残薬が山積みになっていることもあります。自己中断している薬があっても定期診察の時に医師とのコミュニケーションがうまくとれずそのままになっている、いつから何のために始まった薬なのかを患者が理解していないという場合もみられます。

このような状況において、処方医と情報共有を行い、疑義照会、残薬の調整、複数医療機関・複数科にまたがった処方薬を合わせての一包化など、薬剤師が果たす役割は多くあります。薬剤師が在宅医療に参加することで患者の服薬についての問題を解決し、治療効果、生活の質を高めることができるようになるのです。

さらに、飲み忘れなどによる残薬の薬剤費の総計は約500億円、指導が入ることにより改善される薬剤費の推計は約400億円と、薬剤師の介入は医療費の削減にもつながることが期待されます。

 

通院困難な患者で算定

在宅患者訪問薬剤管理指導を行う患者は在宅療養を行なっており通院が困難な患者と定義されています。高齢者向け住宅や施設に入所している方の多くも対象となり、施設側からみたときに入所者の2割で薬に関連した問題があるとの指摘があります。内訳としては、定期薬が処方されているものの内容についての理解が不十分である場合が7割以上、その他の問題点としては、飲み忘れや嚥下機能に合わない剤形の薬が処方されていることなどです。

薬剤師が介入することで、薬剤の保管状況の管理、薬剤の重複や併用禁忌薬の使用、飲みにくいために薬が飲み残される状況、処方内容と食習慣が合わない、副作用を含めた薬への理解について改善が得られると考えられます。

なお、在宅患者訪問薬剤管理指導料は、訪問薬剤管理指導を定期的に行うときに算定できるものであり、一時的な指導のみで継続的な指導が必要でない場合には算定できません。

 

【在宅患者訪問薬剤管理指導をするための準備】

 

届け出が必要

在宅患者訪問薬剤管理指導はどの施設でも算定することができるわけではありません。在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定するにあたっては、事前の届け出が必要です。

「在宅管理訪問薬剤管理指導に係る届出書」の書式に従い、届け出日、保険薬局の所在地、氏名電話番号と施設の開設者名を記載し、地方厚生局長に届け出ます。

薬剤師が介入するきっかけとなるのは4つのケースがあります。①医師や歯科医師からの指示がでた場合、②患者が薬局を訪れたときに薬剤師が問題点に気がついたとき、③ケアマネジャーや訪問看護など他職種からの提案があるとき、④入院していた患者が退院するときに薬剤師が介入する場合です。いずれも医師や歯科医師の指示、薬剤師の訪問による状況の把握と、最終的な患者からの同意が必要です。

また、医師や薬剤師の配置が義務とされている施設に患者が入所・入院している場合には算定することはできません。複数の保険薬局が同時に在宅患者薬剤管理指導料を算定することもできません。

 

介護保険とは違う

在宅患者訪問薬剤管理指導料は健康保険制度に基づき行われるものです。患者が公的介護保険制度に加入している場合、介護保険被保険者証に要介護度の記載がある場合には介護保険が優先となります。指導内容は同じですが介護保険を利用する場合は、介護予防居宅療養管理指導料または居宅療養管理指導料を算定することとなります。介護保険被保険者証を確認し、要介護度の記載がないものないしは介護保険被保険者ではない場合にのみ、在宅患者訪問薬剤管理指導料として調剤報酬請求ができるのです。

 

 

【算定基準と点数】

 

単一建物診療患者の人数で点数が変わる

同じ建物の中で1人に対してのみ薬剤指導をする場合には650点を算定することができます。しかし、同一建物内で2人以上9人以下の患者に対して指導を行う場合には320点となります。それ以外の場合、同一建物内で10人以上の場合などは290点となります。

 

 

月に算定できる回数

在宅患者訪問薬剤管理指導料はひとりの患者につき月4回までとされており、末期がん患者および中心静脈栄養を行っている患者では週2回、月8回までと算定回数が変わります。また、算定回数が2回以上になる場合には6日以上の間隔をおいた場合にのみ算定することが可能です。

保険薬局のうち在宅対応が可能と届出をおこなっているのは平成30年の厚生労働省の調査では6割弱。しかし、実際に在宅対応を実施し、在宅患者訪問管理指導料を算定している薬局は、一部に限られます。特に、単一の建物における患者の人数が少ないほど算定回数は少なくなる傾向にあり、単一建物内に患者が1人のときには3ヶ月で1~3回しか算定されていないケースが3割を占めています。

 

 

【在宅患者訪問薬剤管理指導料での加算】

 

麻薬管理指導加算

末期がん患者では容態の変化が著しく、薬剤の変更、追加なども頻回に行われることから在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定可能回数が、週2回、月8回までと、通常よりも多くなります。さらに、末期がん患者で使用することの多い麻薬について指導を行った場合には麻薬管理指導加算(100点)を算定することができます。麻薬の服薬の仕方や残薬・保管状況の確認を行なった上で、麻薬の効果や副作用だけでなく取扱いに関しても指導を行なうこと、そして処方医に情報提供することで算定できます。

 

 

乳幼児加算

6歳未満の乳幼児患児につき薬学的管理指導を行う場合には乳幼児加算(100点)が加算されます。乳幼児は体重による投与量の調整、剤形による服用可否などの確認や、誤飲防止などにも注意して指導にあたる必要があります。

 

 

【指導内容は記録する】

在宅患者訪問薬剤管理指導料算定までの流れ

在宅患者訪問薬剤管理指導を実施する流れは、まず、「薬学的管理指導計画」を策定します。計画書は患者の状態と処方内容に応じて、新規に作成または内容が変更され、患者宅にて指導すべき内容や、適切な訪問の頻度・間隔などについて記載されます。患者宅を訪問した際には、事前に作成した計画書に基づき、薬剤の服薬状況や薬剤の保管状況、効果や副作用の確認、残薬の確認などについて指導を行います。訪問後、指導内容を報告書にまとめ、担当医師に報告します。これで、在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定が可能となります。

 

 

 薬剤服用歴(薬歴)に記載する内容

在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定するためには、通常の薬歴の記載事項に加えて、少なくとも次の事項について記載されていなければならないと定められています。

 

  1. 訪問の実施日、訪問した薬剤師の氏名
  2. 処方医から提供された情報の要点
  3. 訪問に際して実施した薬学的管理指導の内容(薬剤の保管状況、服薬状況、残薬の状況、投薬後の併用薬剤、投薬後の併診、副作用、重複服用、相互作用等に関する確認、実施した服薬支援措置等)
  4. 処方医に対して提供した訪問結果に関する情報の要点
  5. 処方医以外の医療関係職種との間で情報を共有している場合にあっては、当該医療関係職種から提供された情報の要点及び当該医療関係職種に提供した訪問結果に関する情報の要点
  6. 在宅協力薬局の薬剤師が訪問薬剤管理指導を行った場合には、在宅基幹薬局と当該記録の内容を共有する ※詳細は引用文献参照

(引用文献:厚生労働省, 別添3 調剤報酬点数表に関する事項, 調剤技術料, 区分 15 在宅患者訪問薬剤管理指導料p30(アクセス日: 2021/9/14))

 

 

記録の保存期限

薬歴は、必要に応じて参照できるように患者ごとに保存・管理する必要があります。保存期間は最終記入日から起算して3年間です。

 

 

【在宅患者訪問薬剤管理指導料の留意事項】

 

月の算定回数が異なる患者がいる

上述したように、基本的に在宅患者訪問管理指導料は一人の患者に対して月に4回まで、6日以上あけて算定することができます。ただし、末期がん患者および中心静脈栄養患者では一人の患者に対して週に2回かつ月に8回まで算定することが可能となります。また、1人の薬剤師につき1週間で40回算定することができます。

 

在宅患者オンライン服薬指導料

2019年11月の医薬品医療機器等法の改定により、対面による指導だけでなく情報通信機器を用いたオンラインによる服薬指導が認められるようになりました。2020年度の診療報酬改定では在宅での服薬指導料も算定できるようになっています。

オンライン服薬指導を行う場合、患者の同意が必要であり、対面およびオンラインを組み合わせた服薬指導の計画を作成した上でオンライン服薬指導を行うこととなります。同一の薬剤師が服薬指導を行なうことを原則としていますが、やむを得ない場合には同じ保険薬局に勤務する薬剤師が行なってもよいとされており、その際には事前に患者から他の薬剤師が服薬指導を行なうことに同意を得ていること、当該薬局に勤務する他の保険薬剤師(あらかじめ対面による服薬指導を実施したことがある2名までの保険薬剤師に限る。)の氏名を服薬指導計画に記載していることが必要です。

また、オンライン服薬指導を行う場所は保険薬局内とされており、在宅患者オンライン服薬指導料は57点を月に1回まで算定することができます。薬剤師1人につき週10回までの算定ができ、在宅患者訪問薬剤指導料とあわせて週に40回が限度です。

オンライン服薬指導の場合も対面指導と同様に処方医に結果を情報提供します。また、処方薬を配送する場合は受領の確認が必要です。

 

 

交通費は患者持ち

在宅患者訪問薬剤管理指導を行う保険薬局は居宅との距離が16キロメートル圏内であることが算定の条件となります。しかし、16キロメートル圏内に在宅患者訪問管理指導を行っている薬局がない場合などはその限りではありません。理由なく16キロメートル圏外の保険薬局で在宅管理訪問薬剤管理指導を行う場合には算定できず、もし患者の希望で指導を行った場合には保険診療として認められないため全額が患者負担となります。また、保険薬剤師が薬局から患者居宅へ移動するのにかかる交通費については実費を患者負担として請求できます。

 

 

[参考文献・URL]

在宅訪問薬剤管理指導ってなあに?|公益社団法人 東京都薬剤師会 (アクセス日: 2021/9/14)

在宅医療における薬剤師業務について|中医協 総−4−4 (アクセス日: 2021/9/14)

厚生労働省, 令和2年 厚生労働省告示第57号,第2章在宅医療, P.15 (アクセス日: 2021/9/14)

厚生労働省, 別添3 調剤報酬点数表に関する事項, 調剤技術料, 区分 15 在宅患者訪問薬剤管理指導料p30(アクセス日: 2021/9/14)

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