薬局薬剤師業務 関連用語集 Powered by curon

特定薬剤管理指導加算とは

  • 【読み】 とくていやくざいかんりしどうかさん
  • 【呼称】 -

【概要】

特定薬剤管理指導加算には1と2があります。それぞれの算定要件、特徴について以下に説明します。

 

特定薬剤管理指導加算1について

通称:ハイリスク薬加算

2020年の調剤報酬改定により特定薬剤管理指導加算2が新設されたため、従来の特定薬剤管理指導加算に「1」が付きました。

 

【点数】

10点/回

 

【算定要件】

・患者又はその家族等に処方された薬が特に安全管理が必要なものであることを伝え、当該薬剤についてこれまでの指導内容等も踏まえ適切な指導を行った場合に算定する。

・特に安全管理が必要な医薬品が複数処方されている場合には、その全てについて必要な薬学的管理及び指導を行うこと。ただし、加算は処方箋の受付1回につき1回に限り算定することができる。

・対象となる医薬品に関して患者又はその家族等に対して確認した内容及び行った指導の要点について、薬剤服用歴の記録に記載すること。

 

【留意点】

 

・従来と同一の処方内容にもかかわらず当該加算を継続して算定する場合には、特に指導が必要な内容を重点的に行い、その内容を薬剤服用歴の記録に記載すること。

・「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン」(日本薬剤師会)等を用いて、薬学的管理及び指導等を行うにあたって、事前に情報を収集することが望ましいが、薬局では得ることが困難な診療上の情報の収集については必ずしも必要とはしない。

 

【特に安全管理が必要な医薬品(12種類)】

 

・抗悪性腫瘍剤

・免疫抑制剤

・不整脈用剤

・抗てんかん剤

・血液凝固阻止剤(内服薬に限る。)

・ジギタリス製剤

・テオフィリン製剤

・カリウム製剤(注射薬に限る。)

・精神神経用剤

・糖尿病用剤

・膵臓ホルモン剤

・抗HIV薬

 

特定薬剤管理指導加算2について

2020年の調剤報酬改定により新設された加算です。

 

【調剤報酬】

100点/月に1回まで

 

【算定要件】

・診療報酬の連携充実加算を届け出ている医療機関で、抗悪性腫瘍剤を注射された悪性腫瘍治療中の患者に対して、抗悪性腫瘍剤等を調剤する保険薬局の保険薬剤師が以下の①~③の全てを実施した場合に算定する。

①患者のレジメン等を確認し、必要な薬学的管理及び指導を行うこと。

②患者の使用している抗悪性腫瘍剤、制吐剤等の支持療法に係る薬剤に関し、電話等により服用状況、副作用の有無等について患者又はその家族等に確認すること。

③ ②の確認結果を踏まえ、当該保険医療機関に必要な情報を文書により提供すること。

・患者1人につき同一月に2回以上の情報提供を行った場合においても、当該加算の算定は月1回のみとする。

 

算定できる薬局の要件

あらかじめ施設基準に係る届け出が必要

保険薬剤師としての勤務経験を5年以上有する薬剤師が勤務していること

パーテーション等で区切られた独立したカウンターを有するなど、患者のプライバシーに配慮している

麻薬小売業者の免許を取得し、必要な指導を行うことができる体制が整備されている

保険医療機関が実施する抗悪性腫瘍剤の化学療法に係る研修会に当該保険薬局に勤務する常勤の保険薬剤師が年1回以上参加している(※令和2年9月30 日までの間は経過措置あり)

情報通信機器を使用する場合は加えて薬剤服用歴管理指導料4(オンライン服薬指導)に係る届け出も必要。

 

対象患者の要件

薬剤服用歴管理指導料を算定している

抗がん剤の治療を受けている

処方元の医療機関が連携充実加算を算定している

 

【留意点】

 

・「抗悪性腫瘍剤等を調剤する保険薬局」とは、患者にレジメンを交付した保険医療機関の処方箋に基づき、保険薬剤師が抗悪性腫瘍剤又は制吐剤等の支持療法に係る薬剤を調剤する保険薬局をいう。

・原則として、保険医療機関のホームページ等でレジメンを閲覧し、あらかじめ薬学的管理等に必要な情報を把握すること。

・患者の服薬状況及び副作用の有無等の確認は、電話やビデオ通話による連絡、患者が他の保険医療機関の処方箋を持参した際の確認が含まれる。電話やビデオ通話により患者に確認を行う場合は、あらかじめ患者に対し了承を得ること。

・患者の緊急時に対応できるよう、あらかじめ保険医療機関との間で緊急時の対応方法や連絡先等について共有することが望ましい。重大な副作用の発現のおそれがある場合には、患者に対して速やかに保険医療機関に連絡するよう指導することや受診勧奨を行うなど、必要な対応を行うこと。

・当該加算の算定時に行う保険医療機関への文書による情報提供については、服薬情報等提供料は算定できない

・保険医療機関に対して情報提供した文書の写し又はその内容の要点等を薬剤服用歴の記録に添付又は記載する。

・他の保険医療機関又は他の診療科で処方された薬剤に係る情報を得た場合には、必要に応じて、患者の同意を得た上で、当該他の保険医療機関等に情報提供を行うこと。この場合において、所定の要件を満たせば服薬情報等提供料を算定できる。

 

特定薬剤管理指導加算に関する疑問点

 

・特定薬剤管理指導加算1と2の併用は出来ますか?

特定薬剤管理指導加算2に係る抗悪性腫瘍剤および制吐剤等の支持療法で用いる薬剤以外のハイリスク薬も同時に薬学的管理を行った場合、併用して算定が可能です。

 

・投薬後のフォローはメールやチャットで行っても良いですか?

上記の対応は認められていません。リアルタイムでの音声通話である必要があります。

 

・算定のタイミングはいつになりますか?

医療機関に情報提供を行った後に、患者さんが次に処方箋を持参したタイミングです。次に持参する処方箋はどの医療機関のものでも構いません。

 

・全く調剤業務を行っていない薬局なのですが、算定できますか?

算定できません。

 

[参考文献]

厚生労働省 調剤報酬点数表に関する事項 別添3

Stu-GE 特定薬剤管理指導加算1,2の調剤報酬全点数解説 – 2020年度

 

 

 

【監修薬剤師】

薬剤師:大西真理

ドラッグストア併設調剤薬局の薬剤師。薬局長として薬局全体の管理、教育等に従事し、管理薬剤師としても活躍。広域病院から地域密着型クリニックまで幅広い内容の処方箋応需経験を持つ。

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