オンライン診療の導入理由について
きっかけは、新型コロナウイルス感染症拡大です。緊急事態宣言が初めて出ることが決まった時に、これはまずいことになるぞと感じ、オンライン診療導入を決めました。「やる」と決めたのは通勤中の電車の中でしたね。この時期、どれくらいのダメージがクリニックにあるかは全く未知数で、患者さんが全く来なくなる可能性すらありました。診て差し上げられないと患者さんは不利益を被りますし、努力をしないと患者さんは離れていってしまう。コロナを災害として見るくらいの危機感がありました。
クリニックの中では意思決定が比較的早い方だったので、すぐにシステムの案内を受け、院内オペレーション構築などをひと月とかからずに準備することができました。「オンライン診療科」を立ち上げ、ホームページでの告知も行いました。科名にしたのは患者さんにわかりやすいし、他のクリニックとの差別化もしやすいと考えたからです。オンライン診療を希望する患者さんに、3名の常勤ドクターで対応をしています。
クロンをご選択いただいた理由について
一番の理由はコストです。導入費用とランニングコストや導入実績などを他社と比較検討、導入を決めました。
オンライン診療導入のメリットとデメリットについて
長期処方になってしまう患者さんがいますが、オンライン診療だと月ごとにきちんと状態把握ができるので、モニターがしやすいというのはとてもいいですね。また、新型コロナウイルス感染症の自宅療養中の患者さんですと、ビデオ通話で状態を確認できること、症状が出て困っている場合はお薬を出してあげられること、これはとても有効だと思います。
また、当院は千葉県や神奈川県といった遠方から来ている患者さんも多いですので、そういう方の通院のご負担を減らせることは良いと思います。働き盛りの方、合併症が少ない方で、時間や距離的な制約がある方にとっては良いです。
デメリットは、直接診るわけではないので、細かい変化がわかりづらかったり、検査ができなかったりすることです。闇雲に導入するべきではないとは思います。特にご高齢の方はちょっと細かい変化なんかを見逃すと、それがしばしば診断の遅れに繋がったりする場合があります。あまり積極的に高齢の患者さんには進めないですね。
オンライン診療の今後の展望について
オンライン診療は今後、必要とされるものだと考えています。役割は大きく二つあると思います。海外でいう家庭医のようなドクターは日本では少なくなってきていて、専門性が細分化されてきています。その中で、遠方にいる専門医の意見や、診察をオンラインで受けることができるということは有益なことです。
オンライン診療の今後の進む先として、細分化されてしまった専門医へのアクセスとしては有効なのかなというのが一つですね。現状オフィシャルにとなると紹介状を書いて、患者さんへ持っていってもらうという形になるのですが、医師同士がオンライン上でやりとりできれば双方とても楽になる。個人情報の保護された専用ツールを使って、正式な医療活動としてされるべきであると思っています。
もう一つは、パンデミックや災害時など、医療へのアクセスが遮断されてしまったときの手段です。診療ツールとしてオンライン診療を整えておくというのは、各クリニックの必須要件にしてもいいのかもしれない。有事に患者さんが医療にアクセスしたくてもできなくなる、そのような状態にも対策をとることができます。
一方で現在、国が進めている初診からの受診緩和など、患者さんのリスクが増える可能性があるようなやり方はよくないと感じます。患者さん側も診察においてただ楽をしたいから、とやみくもにオンライン診療を選択するというのは、医療としてはよくないよね、注意が必要だよね、という想いがあります。オンライン診療の規制緩和とともに、患者さんへの啓蒙活動も同時に行っていく必要があると感じています。
Clinic Information
- 医療法人社団つるかめ会 小金井つるかめクリニック
- ホームページ:https://koganei.tsurukamekai.jp/
- 住所:東京都小金井市本町6丁目14-28 アクウェルモール3F
- 電話番号:042-386-3757
Doctor Profile
石橋 史明 (いしばし・ふみあき)
【経歴】 2010年4月~ 東京医科歯科大学で初期研修 2012年4月~ 都立墨東病院消化器内科 2014年4月~ 昭和大学横浜市北部病院消化器センター助教 2015年4月~ 東京医科歯科大学医学部附属病院消化器内科 2018年8月~ 新宿つるかめクリニック 消化器病センター 2019年4月~ 小金井つるかめクリニック 院長 【専門領域】 大腸内視鏡(消化器病専門医、消化器内視鏡専門医) 肝臓疾患(肝臓専門医) 炎症性腸疾患