ラゲブリオとは?効果や副作用について薬剤師が解説
- 【読み】 らげぶりお
- 【呼称】 -
※2024年2月時点の情報を元に作成しています。
ラゲブリオ(成分名:モルヌピラビル)とは
ラゲブリオは、MSD株式会社から発売されている日本で初めて承認された経口の新型コロナウイルス感染症治療薬です。
対象となる病気・症状
ラゲブリオは軽症〜中等度の患者に処方され、新型コロナウイルスの増殖を抑制することで、入院や死亡などの重症化を予防します。
ラゲブリオで期待できる効能・効果
入院や死亡など、新型コロナウイルス感染症の重症化予防効果が確認されています。18歳以上の新型コロナウイルス感染症患者を対象にした臨床試験では、ラゲブリオを服用した人のうち入院した人は6.8%、死亡した人は0.1%でした。それに対し、服用しなかった人では入院した人が9.6%、死亡した人が1.3%でした。
変異株の効き目
実験室レベルの人工的な条件下で、アルファ株、ベータ株、ガンマ株、デルタ株、ミュー株、ラムダ株、オミクロン株に対して、従来の株と同様の抗ウイルス活性が確認されています。また、ヒトへの投与において、オミクロン株への抗ウイルス活性が報告されています。
ラゲブリオの服用方法
・通常、18歳以上の患者には、1回800mg(4カプセル)を1日2回、5日間内服します。
・1ボトル 40カプセル包装で、1人あたりの総投与カプセル量が1ボトルに含まれています。薬は通常、ボトルごと提供されます。ボトルは誤開封を防ぐ仕組みになっていて、キャップをしっかり下方向に押しながら左回り(反時計回り)に回すことで開きます。
・発症から5日以内にラゲブリオを投与した患者のほうが、5日目以降に投与した患者と比較してより顕著な抗ウイルス効果が発揮されることが分かっています。そのため、発症から5日目までの投与開始が望ましいと考えられています。
ラゲブリオの使用上の注意
ラゲブリオの副作用
頻度の高い副作用
以下の副作用が1%以上の頻度で生じる可能性があります。症状が重篤な場合には服用を中止し、医師に相談してください。
- ・下痢
- ・悪心(吐き気やムカムカした感覚)
- ・めまい
重大な副作用
頻度は不明ですが、アナフィラキシーを起こす可能性があります。服用中にアナフィラキシーが疑われる以下の症状があらわれた場合は、服用を中止し、すぐに受診してください。
- ・皮膚の赤み
- ・息苦しさ
- ・激しい嘔吐
- ・ぐったりしてぼーっとする
- ・意識が朦朧とする
ラゲブリオの使用禁忌
以下に該当する人はラゲブリオを服用できません。
- ・有効成分のモルヌピラビルに対して過敏症の既往歴のある人
- ・妊婦または妊娠している可能性のある女性
ラゲブリオと他の薬との飲み合わせ
ラゲブリオとの併用が禁止されている薬やサプリメントは特にありません。他の新型コロナウイルス感染症治療薬と比較して、飲み合わせへの注意が少なくて済むのがラゲブリオの大きなメリットのひとつです。持病の治療のために服用している薬との飲み合わせで他の新型コロナウイルス感染症治療薬が服用できない人でも、ラゲブリオであれば服用できる可能性があります。
ラゲブリオを飲み忘れたときの対処法
ラゲブリオを飲み忘れてしまったときは、気がついた時点で1回分を飲んでください。ただし、次に服用するまでの時間が2時間未満の場合は1回とばして、次の時間に1回分服用してください。決して2回分を一度に飲まないでください。とばして余った分の薬は服用せずに、5日間で服用を終了してください。
ラゲブリオの処方にはいくらかかかる?
ラゲブリオの値段・薬価
ラゲブリオの値段(薬価)は、1カプセルあたり2,357.8円です。通常、1回の治療につき40カプセル(94,312円分)を使用します。ただし、これは保険適用前の10割負担の場合の金額です。ラゲブリオなどの新型コロナウイルス感染症治療薬には、公費による支援が行われています。令和5年10月1日から令和6年3月末までは、医療費の自己負担割合に応じ、自己負担割合が1割の人は3,000円、2割の人は6,000円、3割の人は9,000円が自己負担額の上限となっています。
ただし、公費支援の範囲は段階的に見直される予定となっています。もしも公費による支援が終了し通常の保険診療に切り替わった場合は、自己負担割合が3割の人で1錠あたり約700円、1回の治療につき約28,200円が自己負担額の目安となります。最新の情報をご確認ください。
薬価以外にかかる費用
ラゲブリオによる治療を受けるときは、薬代以外にも医療機関の初診料や検査料、薬局の調剤基本料や薬学管理料、ラゲブリオ以外の薬代などの医療費が別途発生します。これらの費用には公費が適用されないため、通常の保険診療と同様、医療費の自己負担割合に応じた金額を支払う必要があります。
【参考文献】
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/6250051M1028_1_04/
https://www.msdconnect.jp/products/lagevrio/info/faq/
https://www.msd.co.jp/news/product-news-1224-2/
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0710/pubexp_after_covid19.html
https://www.mhlw.go.jp/content/001147042.pdf
【執筆者】
薬剤師:大西真理
ドラッグストア併設調剤薬局の薬剤師。薬局長として薬局全体の管理、教育等に従事し、管理薬剤師としても活躍。広域病院から地域密着型クリニックまで幅広い内容の処方箋応需経験を持つ。
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