ゾコーバとは?効果や飲み合わせについて薬剤師が解説

  • 【読み】 ぞこーば
  • 【呼称】 -

※2024年2月時点の情報を元に作成しています。

ゾコーバ(成分名:エンシトレルビル)とは

ゾコーバは、北海道大学と塩野義製薬の共同研究で開発された新型コロナウイルス感染症治療薬です。

 

対象となる病気・症状

軽症~中等症の新型コロナウイルス感染症による諸症状を改善します。

 

ゾコーバで期待できる効能・効果

ゾコーバは新型コロナウイルスの増殖を抑制し、①倦怠感や疲労感、②熱っぽさや発熱、③鼻水や鼻づまり、④喉の痛み、⑤咳の5症状が快復するまでの時間を短縮します。臨床試験では、症状がなくなるまでの時間の平均は、ゾコーバを服用した人で167.9時間だったのに対し、服用しなかった人では192.2時間でした。

 

後遺症への効き目

新型コロナウイルス感染症は、さまざまな後遺症を引き起こすことが知られています。最近の研究において、ゾコーバは、新型コロナウイルス感染症に特徴的な咳や喉の痛み、倦怠感、味覚、嗅覚異常といった後遺症状を改善することが報告されています。

また、後遺症の可能性が高いとされる神経症状(課題解決力、集中力・思考力の低下、物忘れ、不眠)についても、ゾコーバによって改善できることも報告されています。

ただ、後遺症への効果は、現時点ではあくまで研究段階であるということは理解しておきましょう。

 

ゾコーバの服用方法

・通常、12歳以上の小児及び成人には1日目は375mg(3錠)を、2日目から5日目は125mg(1錠)を1日1回内服します。

・症状が発現してから速やかに内服する必要があります。ゾコーバの有効性は、症状発現から3日目までに内服開始された場合でのみ確認されています。

 

ゾコーバの使用上の注意

ゾコーバの副作用

頻度の高い副作用

以下の副作用が1%以上の頻度で生じる可能性があります。症状が重篤な場合には服用を中止し、医師に相談してください。

  • ・血中コレステロール低下
  • ・トリグリセリド上昇(中性脂肪上昇
  • ・ビリルビン上昇(皮膚や白目が黄色くなる)

 

重大な副作用

頻度は不明ですが、アナフィラキシーを起こす可能性があります。服用中にアナフィラキシーが疑われる以下の症状があらわれた場合は、服用を中止し、すぐに受診してください。

  • ・皮膚の赤み
  • ・息苦しさ
  • ・激しい嘔吐
  • ・ぐったりしてぼーっとする
  • ・意識が朦朧とする

 

ゾコーバの使用禁忌・併用禁忌

以下に該当する人はゾコーバを服用できません。

  • ・有効成分のエンシトレルビルに対して過敏症の既往歴のある人
  • ・腎機能または肝機能障害があり、コルヒチンという薬を投与中の人
  • ・妊婦または妊娠している可能性のある女性

 

併用禁忌

ゾコーバは併用できない薬がたくさんあります。代表的なものは以下の通りです。

  • ・ベプリジル塩酸塩水和物(ベプリコール)(心臓の薬)
  • ・エプレレノン(セララ)(高血圧の薬)
  • ・シンバスタチン(リポバス)(コレステロールの薬)
  • ・トリアゾラム(ハルシオン)(睡眠薬)
  • ・ブロナンセリン(ロナセン)(精神安定剤)
  • ・アゼルニジピン(カルブロック)(高血圧の薬)
  • ・アゼルニジピン・オルメサルタン メドキソミル(レザルタス配合錠)(高血圧の薬)
  • ・スボレキサント(ベルソムラ)(睡眠薬)
  • ・タダラフィル(アドシルカ)(高血圧の薬)
  • ・バルデナフィル塩酸塩水和物(レビトラ)(EDの薬)
  • ・リバーロキサバン(イグザレルト)(血栓の薬)
  • ・カルバマゼピン(テグレトール)(てんかんの薬・精神安定剤)

これ以外にも併用できない薬が多数あるため、服薬中のすべての薬を医師や薬剤師に確認してもらう必要があります。また、ゾコーバの服用に新たに他の薬剤を服用する場合も、事前に医師や薬剤師に相談してください。

 

ゾコーバと他の薬との飲み合わせ

併用してはいけない薬以外にも、併用に注意が必要な薬が多くあります。また、薬だけでなくセイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含むサプリメントも、ゾコーバと併用できません。

そのため、ゾコーバの処方を受けるときは、現在服用中の薬がわかるおくすり手帳や、サプリメントの情報が記載されたパッケージなどを持参し、医師や薬剤師に飲み合わせを確認してもらうようにしてください。

 

ゾコーバの処方にはいくらかかかる?

ゾコーバの値段・薬価

ゾコーバの値段(薬価)は、1錠あたり7,407.4円です。通常、1回の治療につき7錠(51,851.8円分)を使用します。ただし、これは保険適用前の10割負担の場合の金額です。ゾコーバなどの新型コロナウイルス感染症治療薬には、公費による支援が行われています。令和5年10月1日から令和6年3月末までは、医療費の自己負担割合に応じ、自己負担割合が1割の人は3,000円、2割の人は6,000円、3割の人は9,000円が自己負担額の上限となっています。

 

令和6年4月以降は、公費支援の範囲は段階的に見直される予定となっています。もしも公費による支援が終了し通常の保険診療に切り替わった場合は、自己負担割合が3割の人で1錠あたり約2,220円、1回の治療につき15,550円が自己負担額の目安となります。最新の情報をご確認ください。

 

薬価以外にかかる費用

ゾコーバによる治療を受けるときは、薬代以外にも医療機関の診察代や検査費用、薬局の調剤費用、ゾコーバ以外の薬代などの医療費が別途発生します。これらの費用には公費負担とならないため、通常の保険診療と同様、医療費の自己負担割合に応じた金額を支払う必要があります。

 

 

コロナ・インフルの症状も

オンラインで相談できます

 

【参考文献】
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/6250052F1023_2_06/
https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2023/2/20230222.html
https://allergyportal.jp/provision/anaphylaxis/
https://med.shionogi.co.jp/news/package/2023/230315_pdf.html
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0710/pubexp_after_covid19.html

【執筆者】


薬剤師:大西真理
ドラッグストア併設調剤薬局の薬剤師。薬局長として薬局全体の管理、教育等に従事し、管理薬剤師としても活躍。広域病院から地域密着型クリニックまで幅広い内容の処方箋応需経験を持つ。

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