デパスの作用や服用時の注意点、副作用について解説
- 【読み】 でぱす
- 【呼称】 ‐
デパスは脳の働きを落ち着かせる精神神経用剤として、日本で最も処方されている薬です。睡眠障害や不安・うつ症状だけでなく、筋収縮性頭痛や腰痛まで幅広い症状に使用されます。
一方、2016年10月より向精神薬に指定され、厚生労働省による処方制限の対象となりました。さまざまな効能効果をもつ薬であるがゆえに、乱用や依存につながりやすいなど、注意点が多い薬でもあります。不安をやわらげる精神安定剤の中でも作用が強いとされている分、服用上のリスクも大きいことが特徴的です。
今回はデパスの作用や服用時の注意点、副作用について詳しく解説します。
「デパス」ってどんな薬?
デパスの作用と効果
デパスは、「ベンゾジアゼピン系」と呼ばれる種類の薬の1つです。ベンゾジアゼピン系の薬には、脳内の「ベンゾジアゼピン受容体」に働きかけ、脳の興奮を抑える神経伝達物質である「GABA」の働きを強める作用があります。この作用により、以下の4つの作用と効果が期待できます。
1. 抗不安作用:不安や緊張をやわらげる
2. 筋弛緩作用:筋肉の緊張をやわらげ、肩こり・腰痛・筋収縮性頭痛を改善する
3. 鎮静催眠作用:気持ちを落ち着かせ、眠気を催す・睡眠の質を高める
ベンゾジアゼピン系には多くの薬があり、上記4つの効果の強弱によって用途が異なります。
デパスは抗不安作用、筋弛緩作用、鎮静催眠作用が強いため、抗不安薬や筋弛緩薬、睡眠導入剤として主に使われます。
デパスの用途・用法
デパスの用法・用量は、改善させたい症状によって異なります。
1. 神経症、うつ病:1回 1mgを1日3回服用する
2. 心身症、頚椎症、腰痛症、筋収縮性頭痛:1回0.5mgを1日3回服用する
3. 睡眠障害:1回1~3mgを1日1回就寝前に服用する
なお、いずれの場合も年齢や症状により適宜増減します。必ず医師の診療を受け、指示された服用方法に従ってください。
服用を忘れた場合は、気が付いたタイミングでできるだけ早く服用してください。 ただし、次に服用するまでの時間が短い場合は、忘れた分は服用せずに1回分を飛ばしてください。絶対に2回分を1回で服用してはいけません。誤って多く服用した場合は、すぐに医師または薬剤師に相談してください。
医師の指示なく自分の判断で服用を止めてはいけません。
デパスを処方してくれる診療科
デパスを処方してもらえる診療科としては、以下の診療科目が挙げられます。
- 精神科
- 心療内科
- 内科
- 整形外科
デパスは広く使用されており、精神科以外では精神安定剤といえばデパスというイメージが強いほどです。
デパスの使用上の注意
デパスの副作用
デパスの主な副作用としては、以下のものが挙げられます。
- 眠気
- ふらつき
- 倦怠感
- 脱力感
- 物忘れ
- 発疹
また、重大な副作用としては、以下のものが挙げられます。
- 依存性
- けいれん
- 不眠
- 不安
- 呼吸抑制
- 食欲不振
- 発熱
- 肝機能障害
上記の副作用は、重大な疾患の初期症状である可能性があります。
また、上記の副作用は全てを記載したものではありません。上記以外でも気になる症状が出た場合は、使用を止めて、すぐに医師または薬剤師に相談してください。
禁忌・飲んではいけない人
急性の閉塞隅角緑内障を起こしている人は、デパスによって眼圧が上がってしまう可能性があるため、デパスを服用することができません。眼圧が高い方や緑内障の診断を受けている方は、必ず医師に申し出てください。
また、重症筋無力症のある人もデパスを服用することができません。
出典:田辺三菱製薬株式会社,デパス,医療関係者向け情報サイト Medical View Point,2019年9月改訂(第26版),https://medical.mt-pharma.co.jp/di/file/dc/dep.pdf(2022年9月8日参照)
他の薬との飲み合わせ
デパスには一緒に服用してはいけない薬はありませんが、一部の精神科系の薬とパーキンソン病の薬とでは飲み合わせがよくありません。飲み合わせに注意が必要な薬に含まれる成分の代表例としては、以下のものが挙げられます。
- 中枢神経抑制剤
- MAO阻害剤
- フルボキサミンマイレン酸塩
出典:田辺三菱製薬株式会社,デパス,医療関係者向け情報サイト Medical View Point,2019年9月改訂(第26版),https://medical.mt-pharma.co.jp/di/file/dc/dep.pdf(2022年9月8日参照)
薬の併用には専門的な判断が必要です。併用する場合も、併用を止める場合も、決して自己判断では行わず、必ず医師または薬剤師に相談してください。
また、アルコールとも相性がよくありませんので、デパスの服用中はアルコールを控えましょう。デパスとアルコールには近しい作用があるため、併用することでデパスの副作用が出やすくなってしまう可能性があります。
デパスのジェネリック医薬品
デパスには、「エチゾラム」というジェネリック医薬品(後発医薬品)があります。
エチゾラムはデパスと同じ成分を含んでいるため、同程度の効果が期待できます。
エチゾラムはデパス同様、脳内のベンゾジアゼピン受容体に作用し、不安や緊張を改善します。
デパスとエチゾラムの大きな違いは薬の価格です。ジェネリック医薬品では、先発品でかかる研究開発費がかからないため、大幅に安くなります。
出典:沢井製薬株式会社,エチゾラム,sawai medical site 医療関係者向け総合情報サイト,2019年7 月改訂(第22版),https://med.sawai.co.jp/file/pr1_250.pdf(2022年9月8日参照)
まとめ
デパスは幅広い症状に対して効能効果をもつ薬です。
またその反面、依存症になりやすいなど副作用のリスクも大きく、注意点が多い薬でもあります。リスクをなるべく抑え、効果を最大限に引き出すためには、薬を服用する患者の理解と協力が必要です。
デパスの服用にあたっては、必ず医師の指示や薬剤師の処方を受けましょう。そして、自己判断での服薬・増量・中止は絶対にやめましょう。
【参考文献】
デパス錠0.5mgの基本情報┃QLIFE
https://www.qlife.jp/meds/rx7867.html
デパスがついに処方制限!なぜデパスが乱用されてきたのか┃元住吉こころみクリニック
https://cocoromi-cl.jp/knowledge/other/column/etz-abuse/
エチゾラムの効果!デパスとの違いは?ジェネリック医薬品の特徴とは┃minacolor
デパス┃田辺三菱製薬株式会社
https://medical.mt-pharma.co.jp/di/file/dc/dep.pdf
【監修】
薬剤師:大西真理
ドラッグストア併設調剤薬局の薬剤師。薬局長として薬局全体の管理、教育等に従事し、管理薬剤師としても活躍。広域病院から地域密着型クリニックまで幅広い内容の処方箋応需経験を持つ。
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