低用量ピルの飲み方は?飲むタイミングについても解説

  • 【読み】 ていようりょうぴる
  • 【呼称】 -

低用量ピルの効果を得るには、決められた飲み方をしっかりと守ることが大切です。誤った飲み方や飲み忘れが続いてしまうと、期待する効果が得られないばかりか、想定外の副作用や望まない妊娠を招いてしまう可能性も否定できません。

 

今回は、低用量ピルの服用を継続するにあたって基本となる飲み方や、おすすめの飲むタイミングについて解説します。

 

低用量ピルとは

低用量ピルは、エストロゲンとプロゲステロンの2種類の女性ホルモンを含む薬です。

 

これまで、低用量ピルは避妊目的での使用が中心でした。しかし最近は、生理痛などの月経困難症や、生理周期の変更などの目的でも使用されるようになってきています。

 

低用量ピルの効果

低用量ピルには排卵を抑制する作用があるので、子宮内膜が厚くなるのを妨げます。これにより経血量が減ることで、生理痛の改善につながると考えられています。

 

他にも、生理不順の改善、過多月経と貧血の改善、卵巣がんや子宮体癌のリスク低下、避妊などさまざまな効果が期待できます。

 

 低用量ピルの種類

低用量ピルはOC(Oral Contraceptives)とLEP(Low dose Estrogen Progestin)の2種類に分類できます。

 

OCは低用量経口避妊薬で、正しく服用すればほぼ完全な避妊効果を得られます。避妊効果の他にも、生理痛の改善、経血量や生理周期のコントロール、PMS(月経前症候群)の症状改善、婦人科系の癌の発症率低下などの効果が期待できます。

 

OCは避妊を主な目的としているため、健康保険の適用外となります。薬剤費の全額が自己負担となり、医療機関によっても料金設定が異なります。

 

LEPは低用量エストロゲン・プロゲステロン配合薬です。含まれる成分はOCとほぼ同じですが、月経困難症と子宮内膜症の治療薬として認められており、治療薬として使用する場合は保険が適用されます。ただし、避妊目的では処方を受けられません。

 

低用量ピルの飲み方

低用量ピルの効果を得るには、決められた飲み方をしっかりと守り、飲み忘れをしないことが大切です。

 

忙しい毎日のなかで飲み忘れを防ぐためには、「ピルを飲むタイミング」が重要です。また、吐き気、頭痛、嘔吐といった副作用が気になる場合は、飲むタイミングを工夫することで副作用対策ができる場合もあります。

 

低用量ピルの用法用量

低用量ピルは錠剤の飲み薬で、毎日決まった時間に1錠ずつ飲んでいきます。

 

21日分を飲み終わったら、7日間の休薬を挟み、再び21日分継続します。低用量ピルには21錠タイプと28錠タイプがあり、28錠タイプは7錠分が飲み忘れを予防するため偽薬となっているのが特徴です。

 

24時間以内に飲み忘れに気づいた場合は、飲み忘れた1錠を気づいた時点ですぐ飲み、その日の分も通常通りに服用します。つまり、飲み忘れに気づいた日には2錠服用してかまいません。2日以上続けて飲み忘れた場合には一旦中止し、次の生理を待ってから新しいシートで再開します。

 

低用量ピルを1日でも飲み忘れると排卵してしまう可能性があるため、飲み忘れは基本的に厳禁です。旅行や外泊の際には、忘れずに持参しましょう。

 

おすすめの飲むタイミング

低用量ピルを始めて飲むときは、原則として生理の初日から飲み始めます。ただし、出血が生理なのか、不正出血なのかわからない場合は、生理5日目までなら飲み始めることが可能です。しっかりと出血を確認してから服用するのがポイントです。

 

また、毎日決まった時間に飲むことが望ましいので、就寝前・起床時・昼食後など、飲むタイミングは最も忘れにくい時間帯に決めましょう。飲み忘れをしないための工夫として、スマートフォンに通知を受け取れるアプリをインストールしたり、アラーム機能を活用したりするのもおすすめです。

 

毎日同じ時間に飲めるなら時間帯はいつでもかまいません。ただ、夕食後や寝る前に服用した場合は、夜寝ている間に副作用のピークが過ぎてしまうため、吐き気、頭痛、嘔吐といった副作用が出にくいとされています。

 

低用量ピルを服用中の注意事項

低用量ピルの服用により、血栓症や婦人科系のがんを発症する確率がわずかに上がるとされていますが、しっかりと定期検診を受けることで早期発見が可能です。

 

低用量ピルとの併用が禁止となっている薬はありませんが、相互作用が認められている薬は複数存在します。別の医療機関等を受診した際には、低用量ピルを服用中であることを伝え、飲み合わせに問題のない薬を処方してもらうようにしましょう。

 

低用量ピルとオンライン診療の相性

低用量ピルは飲み忘れないことが大切ですが、そのためには手持ちの薬を切らさないよう定期的に受診する必要があります。ただ、病院によっては待ち時間が長かったり、診療時間が限られていたりと、仕事や家事に忙しい女性にとっては、通院を継続するのも一苦労です。

 

オンライン診療では、仕事の昼休みやちょっとした空き時間に診察を受けることができるため、通院の負担は大幅に軽減します。また、自宅などの慣れた場所でリラックスして診察を受けることで、体の悩みについて緊張せずに落ち着いて相談できたという声もあります。

 

低用量ピルの服用を続けるにあたり、オンライン診療の活用も是非検討してみてはいかがでしょうか?

 

 

 

参考文献

月経痛(生理痛) | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修 (w-health.jp)

 

経口避妊薬ってどんな薬?:経口避妊薬(OC/ピル)について|富士製薬工業株式会社 (fujipharma.jp)

 

ピル・避妊について|よくある質問|名古屋市千種区の産婦人科 レディースクリニック山原 (nagoya-yamahara-lc.jp)

 

低用量ピル(OC/LEP)|婦人科|診療内容|医)新宿レディースクリニック会 新宿レディースクリニック (1971fujinka.jp)

 

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【執筆者】

薬剤師:大西真理
ドラッグストア併設調剤薬局の薬剤師。薬局長として薬局全体の管理、教育等に従事し、管理薬剤師としても活躍。広域病院から地域密着型クリニックまで幅広い内容の処方箋応需経験を持つ。

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