パキロビッドパックとは?副作用や併用禁忌について薬剤師が解説
- 【読み】 ぱきろびっどぱっく
- 【呼称】 -
※2024年2月時点の情報を元に作成しています。
パキロビッドパック(成分名:ニルマトレルビル/リトナビル)とは
パキロビッドパックは、ファイザーによって開発された新型コロナウイルス感染症治療薬です。
対象となる病気・症状
軽症~中等症の新型コロナウイルス感染症の重症化を防ぎます。
パキロビッドパックで期待できる効能・効果
入院や死亡など、新型コロナウイルス感染症の重症化予防効果が確認されています。18歳以上の新型コロナウイルス感染症患者を対象にした臨床試験では、パキロビッドパックを服用した人の入院は671人中5人(0.745%)、死亡は671人中0人(0%)だったのに対し、服用しなかった人では入院が647人中44人(6.801%)、死亡が647人中9人(1.391%)でした。
パキロビッドパック600の服用方法
・通常、成人及び12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、ニルマトレルビルとして1回300mg(2錠)及びリトナビルとして1回100mg(1錠)を同時に1日2回、5日間内服します。
・薬のシートが服用のタイミング(朝及び夕)ごとに左右で色分けされており、ニルマトレルビルが下に2錠、リトナビルが上に1錠の合計3錠が1回分としてセットされています。1シートが1日分で、合計5シート(5日分)を服用します。
・症状が発現してから速やかに投与を開始する必要があります。有効性は、症状発現から6日目までに投与が開始された場合でのみ確認されています。
パキロビッドパックの使用上の注意
パキロビッドパックの副作用
頻度の高い副作用
以下の副作用が1%以上5%未満の確率で生じる可能性があります。症状が重篤な場合には服用を中止し、医師に相談してください。
- ・味覚障害
- ・下痢・軟便
重大な副作用
稀ですが、以下の重大な副作用を起こす可能性があります。服用中に以下の症状があらわれた場合は、使用を中止し、すぐに受診してください。
- ・肝機能障害(だるさ、食欲不振、吐き気、皮膚のかゆみ、白目や皮膚が黄色くなるなど)
- ・アナフィラキシー(皮膚の赤み、息苦しさ、嘔吐、意識朦朧など)
- ・中毒性表皮壊死融解症(TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(皮膚や粘膜の水ぶくれ・ただれ、目の充血、発熱など)
パキロビッドパックの使用禁忌・併用禁忌
使用禁忌
以下に該当する人はパキロビッドパックを服用できません。
- ・有効成分のニルマトレルビル及びリトナビルに対して過敏症の既往歴のある人
- ・腎機能または肝機能障害があり、コルヒチンという薬を投与中の人
併用禁忌
パキロビッドパックと併用できない代表的な薬は以下の通りです。
- ・エレトリプタン臭化水素酸塩(レルパックス)(片頭痛の薬)
- ・アゼルニジピン(カルブロック)(高血圧の薬)
- ・アゼルニジピン・オルメサルタン メドキソミル(レザルタス配合錠)(高血圧の薬)
- ・エプレレノン(セララ)(高血圧の薬)
- ・ベプリジル塩酸塩水和物(ベプリコール)(心臓の薬)
- ・リバーロキサバン(イグザレルト)(血栓の薬)
- ・ブロナンセリン(ロナセン)(抗精神病薬)
- ・スボレキサント(ベルソムラ)(睡眠薬)
- ・タダラフィル(アドシルカ)(高血圧の薬)
- ・バルデナフィル塩酸塩水和物(レビトラ)(EDの薬)
- ・ジアゼパム(セルシン、ホリゾン)(抗精神病薬)
- ・エスタゾラム(ユーロジン)(睡眠薬)
- ・トリアゾラム(ハルシオン)(睡眠薬)
- ・カルバマゼピン(テグレトール)(てんかん・メンタル系の薬)
これ以外にも併用できない薬が多数あるため、服薬中のすべての薬を医師や薬剤師に確認してもらう必要があります。また、パキロビッドパック服用中に新たに他の薬剤を服用する場合も、事前に医師や薬剤師に相談してください。
パキロビッドパックと他の薬との飲み合わせ
併用禁忌の薬以外にも、併用に注意が必要な薬が多くあります。飲み合わせには、細心の注意が必要です。また、薬だけでなくセイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含むサプリメントも、パキロビッドパックと併用できません。
パキロビッドパックの処方を受けるときは、服用中の薬について記載されたおくすり手帳や、サプリメントの情報が記載されたパッケージなどを持参し、医師や薬剤師に飲み合わせを確認してもらうことが重要です。
パキロビッドパックの処方にはいくらかかかる?
パキロビッドパックの値段・薬価
通常使われる「パキロビッドパック600」の値段(薬価)は、1シートあたり19,805.5円です。通常、1回の治療につき5シート(99,027.5円分)を使用します。ただし、これは保険適用前の10割負担の場合の金額です。パキロビッドパックなどの新型コロナウイルス感染症治療薬には、公費による支援が行われています。令和5年10月1日から令和6年3月末までは、医療費の自己負担割合に応じ、自己負担割合が1割の人は3,000円、2割の人は6,000円、3割の人は9,000円が自己負担額の上限となっています。
ただし、公費支援の範囲は段階的に見直される予定となっています。もしも公費による支援が終了し通常の保険診療に切り替わった場合は、自己負担割合が3割の人で1シートあたり約5,940円、1回の治療につき約29,700円が自己負担額の目安となります。最新の情報をご確認ください。
薬価以外にかかる費用
パキロビッドパックによる治療を受けるときは、薬代以外にも医療機関の初診料や検査料、薬局の調剤基本料や薬学管理料、パキロビッドパック以外の薬代などの医療費が別途発生します。これらの費用には公費が適用されないため、通常の保険診療と同様、医療費の自己負担割合に応じた金額を支払う必要があります。
【参考文献】
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/62501B5X1020_1_08/62501B5X1020_1_08?view=body&lang=ja
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0710/pubexp_after_covid19.html
https://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2022/2022-02-10
【執筆者】
薬剤師:大西真理
ドラッグストア併設調剤薬局の薬剤師。薬局長として薬局全体の管理、教育等に従事し、管理薬剤師としても活躍。広域病院から地域密着型クリニックまで幅広い内容の処方箋応需経験を持つ。
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