PMSとPMDDの違いとは?セルフチェック方法も解説

  • 【読み】 ぴーえむえす
  • 【呼称】 

多くの女性がPMS・PMDDに悩んでいる

月経前に体がむくむ、だるくなる、腰痛がひどい、肌が荒れる、突然悲しくなる……。

 

月経開始の約3~10日前から始まる、体や心に起こるさまざまな不快な症状は「月経前症候群(PMS)」と呼ばれるものです。PMSが起こる原因は女性ホルモンの変動によるもので、月経が始まると症状は消失または軽くなるため、それ自体は自然なものと言えるでしょう。日本産科婦人科学会によると、日本では月経のある女性の約70~80%が月経前に何らかの症状があるとされています

 

また、PMSのうちで、特に精神面での不調が著しい状態を「(月経前不快気分障害)PMDD」と言います。比較的新しい概念ですが、2013年には抑うつ症候群のひとつとして考えられるようになりました。DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアルによると、PMDDは月経がある女性の1.8~5.8%が該当するようです。

 

PMSやPMDDを経験している女性は多いです。しかし、「誰でもこんなふうにつらいのだから、我慢すればいい」と我慢し続けることは絶対におすすめできません。

 

日常生活に支障が出るほどつらい

 

PMSやPMDDの症状は、身体に現れるもの・精神に現れるもの、重いもの・軽いものなど、非常に多くの種類があります。いくつもの症状が複合的に現れる人もいますし、「先月は症状が軽かったけど、今月はひどく重い」というように同じ人でも症状の内容・重さが変動することがあります。

 

そのためPMSやPMDDを一言で説明することは難しいのですが、いずれのケースにおいても「日常生活に支障をきたすレベル」で症状が出ていることが特徴となります。

 

腹痛が強くて起き上がれず学校や職場に行けない。情緒不安定で突然涙が出てきてしまう。イライラして家族にあたってしまう。一日中眠くてやるべきことに手がつかない。普段の当たり前の生活を送ることが困難になってしまうのがPMSやPMDDです。

 

治療が必要なれっきとした「疾患」ですので、放置せずに早めに治療を受けることで、これまでとはちがう快適な毎日を送れるようになり、毎月月経が始まる頃に感じていた憂鬱感からも解放されます。

 

PMS(月経前症候群)とは

 

PMSは、月経が始まる前の約3~10日前から様々な不調が生じる疾患です。原因ははっきりと確定されていませんが、現在考えられているのが、排卵のリズムがある女性の場合、エストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンが大きく影響するというもの。

 

エストロゲンは月経~排卵期に多く分泌され、プロゲステロンは排卵直後~次の月経までの間に多く分泌されます。エストロゲンやプロゲステロンは、心を安定させる神経伝達物質「セロトニン」や「ガンマアミノ酪酸(GABA)」の働きに影響を与えます。エストロゲンやプロゲステロンの分泌量が増減することでPMSが引き起こされている可能性があります。さらに、エストロゲンとプロゲステロンがそれぞれ女性本人の身体や精神にどれだけ影響を及ぼすかという感受性の強さにも個人差があり、このこともPMS発症につながっているのではないかと考えられています。

 

このほか、交感神経と副交感神経など自律神経のバランスが乱れることも原因のひとつと考えられています。交感神経が活発になると人の心身は緊張・興奮モードになり、副交感神経が優位になるとリラックスモードに入ります。一般的に、PMSの患者さんは月経前には交感神経が優位になりやすいというふうに確認されています。悩みを抱えていたりストレス・疲れを感じやすい時期だったりすると、PMS症状が強く出るという人もいます。

 

身体面と精神面の不調

 

PMSは身体と精神のどちらでも症状が現れます。主な症状として次のようなものが挙げられます。

 

<身体の症状>

・下腹部や乳房の膨張感、痛み

・腹痛、腰痛

・頭痛

・手足のむくみ

・のぼせ、ほてり

・肩こり

・下痢、便秘

・体が重だるい

・関節痛

・眠りすぎる

 

<精神の症状>

・気分が沈む、鬱屈した気持ちになる

・怒りっぽくなる、イライラする

・不安感情がある

・感情の起伏が激しくなる

・無気力

・何をするにもおっくうに感じる

・食欲が亢進する

 

PMDD(月経前不快気分障害)とは

 

PMDDは、PMSの中でも特に精神状態に関する症状が著しく現れる状態を言います。診断名が定められたのが1994年と比較的新しい概念で、「特定不能のうつ病性障害」の一つとして取り上げられています。

 

PMDDは著しい抑うつ気分、不安、情緒不安定、持続的な怒りなどを基本とする11項目のうち、黄体期最終週の大半で5項目以上が認められていて、さらに日常生活に支障をきたしていることが認められたときに診断が下されます。

 

もともとはPMSとして診断されてきましたが、うつ病患者と同じくらい重い精神症状が月経の前ごとに現れる患者の方が少なからず確認されたため、PMDDとして新しい病名がつきました。

 

著しい精神面の不調

 

PMDDの主な症状としては次のようなものが挙げられます。

 

<精神の症状>

・抑うつ気分、絶望感、自己卑下の気持ち

・不安、緊張、いらだっている感情

・情緒不安定

・持続的な怒りの感情がある

・興味の減退

・集中力の低下

・倦怠感、疲れ、気力の低下

・睡眠障害(過眠、不眠)

・食欲が明らかに変化している

・自分が制御不能だと感じる

 

PMSとPMDDどっち?セルフチェックリスト

 

自分の不調がPMS・PMDDに当てはまるかどうかを調べてみましょう。セルフチェックリストを作ったので試してみてください。

 

あなたはPMS?セルフチェックリスト

 

前3回の月経周期において、月経開始前5日間のうちに、次の精神症状および身体症状が1つ以上当てはまりますか?

 

<身体症状>

・乳房に痛みがある

・腹部に膨満感がある

・頭痛

・手足のむくみ

 

<精神症状>

・抑うつ感がある

・怒りが抑えられない

・イライラする

・不安感情がある

・判断力が低下する

・引きこもりがちになる

 

「症状が月経開始4日以内に軽快し、月経周期13日目までに再発がない」「症状の発症は、ホルモン剤の摂取や薬・アルコールの服用によって引き起こされたものではない」「PMSを疑ってから、月経2周期にも症状の再現が認められた」「あきらかに日常生活に支障をきたしている」これらの条件を満たしている場合、PMSである可能性があります。

 

あなたはPMDD?セルフチェックリスト

 

前3回の月経周期において、月経開始前5日間のうちに、次の症状が1つ以上当てはまりますか?

 

・抑うつ気分や絶望感、落ち込みがひどい

・不安感や緊張感がある

・情緒不安定

・イライラしたり怒りっぽくなる

・趣味などへの興味が薄くなる

・集中することが難しい

・非常に疲れやすい、倦怠感がある

・食欲が明らかに異常

・眠りすぎる、または眠れなくなる

・自分が自分ではないような感じがある

・生理前、乳房の膨張感や痛み、頭痛、関節痛や筋肉痛、浮遊感、体重増加といった症状のうち2つ以上が当てはまる

 

「自分はPMS・PMDD?」と思ったら婦人科・精神科・心療内科へ相談を

 

月経周期を28日間とすると、PMSやPMDDの患者さんは、月経前の不快な症状を抱えながら1カ月の約4分の1を過ごしていることになります。日常生活を送ることが困難だと感じるほどのつらさが閉経までずっと続くことを考えると、「誰でもなっているから」と我慢することには何も良いことがありません。本記事のセルフチェックリストをご参考いただいて、「もしかして自分はPMSかPMDDかも?」と思ったら、婦人科・精神科・心療内科へご相談にいらしてください。診療を行い、それぞれの患者さんに最も適した治療法を提案してもらえるはずです。

【執筆者】


医師:木村眞樹子
都内大学病院で循環器内科および内科として在勤中。 内科・循環器科での診察、治療に取り組む一方、産業医として企業の健康経営にも携わっている。

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