月経困難症は婦人病のサイン?セルフチェックリスト付きで解説
- 【読み】 げっけいこんなんしょう
- 【呼称】 ‐
月経の際におなかなどに痛み(生理痛)を感じる女性は、健康な方でも4人に1人はいるとされています。その中でも鎮痛剤を手放せない方や、生理痛以外にも嘔吐感や鬱屈などの症状がある方、日常生活を送るのも大変だという方がいて、そうした諸症状をまとめて「月経困難症」と呼びます。
月経困難症はよくあるものと考えられがちですが、れっきとした疾患で、治療の対象になります。今回は月経困難症とは何か、月経困難症が起こる原因や、可能性のある婦人病などを交えて解説いたします。また、月経困難症のセルフチェックリストも記載しましたので、「もしかしたら自分は月経困難症なんじゃないのかな?」と心配になっている方はぜひ参考にしてみてください。
月経困難症は生理痛だけじゃない?
月経困難症は、女性の月経の直前、または開始とともにさまざまな症状が発現し、月経が終わる頃に消失していくものという疾患です。主な症状として腹部・下腹部の痛み、腰の痛みなどを訴える患者さんが多くいらっしゃいます。
月経困難症が起こる仕組みは、主として、月経の際に出る子宮収縮作用のある物質(プロスタグランジン)が過剰分泌されていることが原因だと考えられています。女性ホルモンである卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)のはたらきによって、女性の体は約25~38日の周期で月経を繰り返します。
女性の体は、約1カ月に1回、卵子から卵子を排出します(排卵)。この排卵後に子宮内膜を厚くして妊娠に向けて準備を整えていきますが、妊娠が成立しなかった場合は、着床しなかった子宮内膜が剥がれ落ちて血液と一緒に体外へと出ていきます。これが月経です。
このとき、プロスタグランジンが子宮を収縮させて排出を促しますが、分泌量が多すぎると子宮まわりにうっ血や充血が起こり、腹部に痛みが発生するのです。
腰痛、頭痛、不安感、動悸なども月経困難症の症状
月経困難症に見られる症状は腹部の痛みだけではありません。腹部の膨満感(張っている感じ)、腰の痛み、頭痛、吐き気、めまい、動悸、疲労感、無気力感や、イライラ、うつっぽい気持ちなど、精神面にも影響を及ぼすことがあります。
子宮の収縮による痛みのほか、経血として毎月20~140ccほどの血液が体外に排出されるため、鉄欠乏が起こったことで身体に影響が出ている場合があります。
日常生活に支障を来す状態
軽度の月経であれば多くの女性に見られる症状ですが、月経困難症は日常生活に支障を来すほど重度なものを指し、治療の対象となります。
痛み止めを飲まないと体を動かせない、市販の痛み止めが効かない、仕事や勉強の妨げになるほど諸症状が重い、といった場合には医療機関を受診することをおすすめします。
月経困難症セルフチェックリスト
ご自分が月経困難症に当てはまるのか気になる方に向けて、セルフチェックリストを作成しました。月経が始まる直前または開始した頃、次のような症状が1つでも当てはまる方は月経困難症の可能性があります。
□おなかや下腹部が痛い
□腰痛が起こる
□倦怠感や疲労感がある
□頭痛がある
□嘔吐、吐き気がある
□貧血気味になる
□排尿回数が増える
□生理期間ではないのに不正出血がある
□生理の出血量が多い
□生理でレバー状の大きな塊が出る
□なかなか妊娠しない
□排尿時や性交時に痛みがある
上記の中に1つ以上の症状があり、日常生活に支障を来すと感じている方は、早めに婦人科を受診してください。
月経困難症は2種類ある
月経困難症は原因別に、「機能性月経困難症」と「器質性月経困難症」の2種類があります。
機能性月経困難症
「機能性(原発性)月経困難症」は、子宮などに特に疾患・器質的病変が認められない場合の月経困難症を言います。
月経時にプロスタグランジンが過剰分泌されたため子宮が収縮しすぎてしまったり、経血を排出する子宮頚部が狭すぎたりすることで起こります。
器質性月経困難症
「器質性月経困難症」は、子宮などの骨盤腔内臓器になんらかの器質的病変があって起こる月経困難症です。
器質性病変には例として、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症、骨盤内炎症などが挙げられます。これらの婦人病に付随する癒着性付属器炎、癒着性骨盤腹膜炎、子宮奇形なども生理痛の原因になることがあります。また、病状は徐々に重くなることがあります。
2つの月経困難症を診断する方法
診断は医療機関で行います。月経困難症の症状に関する問診、婦人科系の視診・内診をはじめ、貧血やホルモンの検査、腫瘍マーカー検査などを含む血液検査、超音波検査・CT・MRIなどの画像検査を行って、器質性病変が見つかれば「器質性月経困難症」という診断がなされます。
月経困難症は婦人科系の病気のサイン?
前述のように、月経困難症は子宮内膜症などの婦人科系の病気があるために引き起こされることがあります。どのような病気の可能性があるのか、いくつか例を挙げてみます。
子宮内膜症
子宮内膜症は、子宮の内側を覆う子宮内膜と似た組織が、本来あるべき内腔以外の場所にできてしまっている状態です。月経の際、出血を体外に排出することができないため、血液が周辺組織と癒着したり炎症を起こしたりし、月経痛を伴います。卵巣がんのリスクを高めてしまうことがあります。
妊娠の経験がない女性は発症の危険性が高いと言われています。
子宮筋腫
子宮筋腫とは、子宮の内側にできる良性の腫瘍のことで、女性ホルモンの作用によって大きくなります。30~40代の女性に発症することが多いのですが、閉経後に女性ホルモンの分泌量が減少すると筋腫は小さくなっていきます。
子宮筋腫は子宮内にできる場所によって種類が区別されます。筋腫ができると子宮内膜の表面積が増えるので、経血量が増加したりレバー状の血の塊ができたりという症状が出てきやすくなります。これに動悸やめまいといった貧血の症状、頻尿、便秘、腰痛が伴うことがあります。
子宮筋腫ができると子宮内腔が変形するため、不妊や流産を引き起こす原因となる場合があります。
子宮腺筋症
子宮腺筋症とは、本来子宮の内側にあるはずの子宮内膜に類似した組織が、なんらかの理由で子宮の壁の内部(子宮筋層内)に侵入してしまう疾患のことです。子宮筋腫とは違って筋腫ではありません。
筋層内に出血が起きるため、強い月経痛や経血量の増加(過多月経)の原因になります。子宮腺筋症から子宮体癌に発展する報告はごくわずかですが、妊娠において障害になることが多いため、不妊対策のために無症状でも治療を希望される方はいらっしゃいます。
月経期間のつらい痛みは病院で受診を
月経時の体調不良は、内容や程度も人それぞれですが、月経困難症は普段通りの生活を送ることも難しくなるほど重症の疾患です。「みんなも同じ痛みを感じているのだから、自分も我慢しなきゃ……」と思い込んでしまってはいけません。また、隠れている婦人病を見つけ出すサインになっていることもあります。重い月経痛などに苦しんでいる方は、すみやかに婦人科を受診することを強くおすすめします。
セルフチェックリストで、「もしかして自分は月経困難症なんじゃないかな?」と不安になったという方も、まずは気軽に医師に相談してくださいね。
【執筆者】
医師:木村眞樹子
都内大学病院で循環器内科および内科として在勤中。 内科・循環器科での診察、治療に取り組む一方、産業医として企業の健康経営にも携わっている。
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