シダキュア(一般名:スギ花粉エキス原末)とは

  • 【読み】 しだきゅあ2,000JAU・5,000JAU
  • 【呼称】 -

概要

シダキュアは、スギ花粉を原因とするアレルギー性鼻炎に対する舌下投与のアレルゲン 免疫療法(舌下免疫療法)薬です。アレルゲン免疫療法(減感作療法)は、アレルギーの原因となるアレルゲンを少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らしていく治療法です。

 

従来行われている抗アレルギー薬の内服によるスギ花粉症治療は、根治治療ではなく対症療法に分類される治療法でした。シダキュアと同様の減感作療法としては注射剤による治療が行われていましたが、頻回の通院や毎回の注射の痛み等が原因で治療アドヒアランスが低下しやすいのが欠点とされていました。しかし、シダキュアによる舌下免疫療法の登場により、注射剤よりも簡便にアレルギー症状の改善や長期にわたる症状抑制といった根本的な体質改善を目指すことが可能となりました。完全に症状が抑制できない場合でも、症状を軽減し、抗アレルギー薬等の使用量を減らすことが期待できます。

シダキュアによる舌下免疫療法は、スギ花粉が飛散していない時期も含めた毎日の服用と、1カ月に1回程度の定期的な受診が必要です。根本的な体質改善には3~5年間の服用継続が推奨されていますが、正しく治療が行われた場合には、治療開始後初回のスギ花粉飛散シーズンから症状を和らげることが可能とされています。

シダキュアの同種同効薬としてはシダトレンが挙げられますが、シダトレンの剤型は液体で冷蔵庫での保管が必要なのに対して、シダキュアの剤型は錠剤で常温での保管で問題ありません。また、含まれているアレルゲン量がシダトレンは2000単位なのに対してシダキュアは5000単位と高用量なため、より高い治療効果が期待できます。

 

対象となる疾病・症状

スギ花粉症

 

シダキュアに期待できる効能・効果

効能・効果

スギ花粉症に対する減感作療法

 

効能・効果に関する使用上の注意

・スギ花粉症の確定診断を実施した後に投与を開始してください。

・スギ花粉以外のアレルゲンに対しても反応性が高いスギ花粉症患者に対する有効性及び安全性は確立していません。

 

シダキュアの服用方法

1. 最初の1週間は2,000JAU錠(黄緑色のラベル)を、2週目以降は5,000JAU錠(青色のラベル)を初回は医療機関で服用し、2日目からは自宅で服用します。

2. 1日1回1錠を舌下に置き、1分間保持した後に飲み込んでください。

3. その後5分間は、うがいや飲食をしないでください。

4. 副作用がおこるおそれがあるので、服用する前後2時間程度は、激しい運動、 アルコール摂取、入浴などは避けるようにしてください。

 

その他の注意

・スギ花粉飛散期間は、新たに投与を開始しないでください。

・他の減感作療法薬との併用の経験はありませんが、併用によりアナフィラキシー等のアレルギー反応を含む副作用の発現が増加するおそれがあることから、併用する場合には十分注意してください。

・初回投与時は医師の監督下でショック、アナフィラキシー等の発現時に救急処置のとれる準備を実施した上で、投与後少なくとも30分間は安静にしてください。

・シダキュアを誤って多く服用してしまったり、飲み忘れたりした場合は、 次のように対処してください。いずれの場合も、決してその日の分より多く服用しないでください。

①誤って多く服用してしまったとき

・直ちに吐き出し、うがいをしてください。

・翌日、改めて前日の用量を服用してください。

 

② 1分間保持できず、飲み込んでしまったとき

・その日は再度服用しないでください。

・翌日、改めて前日の用量を服用してください。

 

③ 服用し忘れたとき

・その日のうちに気がついた場合、その日の用量を服用してください。

・翌日に気がついた場合、前日の用量を服用してください。

・服用したか不確かな場合、その日は服用しないでください。

 

シダキュアの主な副作用

シダキュアの頻度の高い副作用

次の副作用が5%以上の頻度で生じる可能性があります。症状が重篤な場合には服用を中止してください。

・口腔腫脹・浮腫、口腔そう痒症、口腔内不快感

・咽喉刺激感、咽喉頭不快感

・耳そう痒症

 

シダキュアの重大な副作用

ショック、アナフィラキシーがあらわれるおそれがあるので、観察を十分に行い、血圧低下、呼吸困難、全身潮紅、顔面浮腫・咽頭浮腫等の血管浮腫、蕁麻疹、喘息等の異常が認められたときには、投与を中止し、直ちに適切な処置を行ってください。

 

※警告・禁忌を含む使用上の注意等は製品添付文書をご確認ください。

 

シダキュアのオンライン診療との相性

シダキュアを使用したスギ花粉症に対する舌下免疫療法は、3~5年という長期間にわたって服用を継続する必要があり、服用を長期に中断するとせっかく得られていた治療効果が振り出しに戻ってしまうのが一般的です。薬剤は基本的に1ヶ月分ごとの処方となるため、医療機関が混雑するシーズンや、院内感染のリスクが高い風邪やインフルエンザ等の感冒流行シーズンにも足繁くクリニックに通う必要があります。

スギ花粉症の根治治療を望む若年世代は仕事や家事で忙しい場合が多く、思うように来院の時間を作れず、治療が中断されてしますケースも多くあります。シダキュアを使用した花粉症治療の初診については、確定診断のためのアレルギー検査や初回服用における副作用発現状況の確認が必要なため、対面での診察が必要です。

しかし、2回目以降の診察については対面での診察以外にも、スマートフォンやパソコンのビデオ通話機能を使用したオンライン診療を活用することで、症状や服用状況、副作用の発現状況等の確認が可能です。

このように、シダキュアによる舌下免疫療法とオンライン診療を組み合わせることで患者の通院負担が軽減されるたけでなく、安全な服用や服薬アドヒアランスの向上、院内での患者の密集による院内感染のリスク低減に貢献することが期待されています。

舌下免疫療法がオンライン診療に対応!

舌下免疫療法

 

【参考文献】
シダキュア 添付文書(2021年11月改訂 第6版)
患者向け資材「シダキュアによる治療をはじめる患者さんへ」(鳥居薬品)

【執筆者】


薬剤師:大西真理
ドラッグストア併設調剤薬局の薬剤師。薬局長として薬局全体の管理、教育等に従事し、管理薬剤師としても活躍。広域病院から地域密着型クリニックまで幅広い内容の処方箋応需経験を持つ。

このページは、オンライン診療サービス curon(クロン)を開発・運営する株式会社MICINにより運営されています。クロンは厚生労働省・経済産業省・総務省のガイドラインにも準拠した、初期費用・月額固定費用が無料で運営できるオンライン診療のシステムで、全国で多数のクリニックに導入されています。サービスの詳しい内容について、こちらをご覧ください。

オンライン診療サービス クロンはこちらへ

本サービスにおける情報提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、必ず近くのかかりつけ医や、適切な医療機関を受診することをお勧めいたします。

また、日々最新の情報を掲載するために過去の執筆記事も定期的に巡回し、情報の正確性に可能な限り努めて参りますが、制度改定などにより一時的に古い情報が掲載されている可能性がございます。

本サービス上の情報や利用に関して発生した損害等に関して、弊社は一切の責任を負いかねますこと予めご了承ください。