サクセンダ皮下注(一般名:リラグルチド)とは

  • 【読み】 さくせんだひかちゅう
  • 【呼称】 -

概要

サクセンダ皮下注は、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬であるリラグルチドを有効成分とする注射薬です。GLP-1受容体を活性化することで、食欲を抑え、胃内容物の排出を遅らせるなどの作用により、カロリー摂取量を減らし、体重減少を促します。

本剤は自己注射可能な製剤で、1日1回皮下注射します。

なお、サクセンダ皮下注は、日本では未承認の医薬品であり(※)、本ページにおいては米国医薬品食品局(FDA)の情報を元に情報提供します。

※2025年10月末現在

 

対象となる疾病・症状

 成人:栄養管理と運動療法の補助として、以下の患者に使用されます。

  ・BMI30以上

  ・BMI27以上で、かつ体重に関連する少なくとも1つの併存疾患(例:高血圧、2型糖尿病、脂質異常症など)を有する患者

 12歳以上の小児:体重が60kg超かつ、成人におけるBMI30以上に相当する国際基準の初期BMIを有する肥満患者に使用されます。

 

サクセンダに期待できる効能・効果

栄養療法及び運動療法と併用した慢性的な体重管理

 

サクセンダの使用方法

通常、成人および12歳以上の小児に対し、1日1回皮下注射します。

推奨される用量は1日3mgですが、消化器系の副作用を最小限に抑えるため、0.6mg/日から開始し、経過を見ながら1週間おきに1.2mg/日、1.8mg/日、2.4mg/日、3mg/日と段階的に増量します。

注射部位は腹部、大腿部、上腕のいずれかに皮下注射しますが、毎回同じ部位ではなく、同じ領域内で注射場所を変更(ローテーション)する必要があります。

 

用法・用量に関する使用上の注意

(1)投与を忘れた場合:次回の予定された用量で1日1回の投与を再開すること。追加投与や増量して、投与し忘れた分を補ってはならない

(2)3日以上投与を忘れた場合:治療再開に伴う胃腸障害の発生を減らすため、1日0.6mgから再開し、再度増量スケジュールに従うこと。

(3)治療中止の目安(成人):治療開始から16週間で、ベースライン時からの体重が4%以上減少していない場合、サクセンダの投与を中止すること。

(4)他のGLP-1受容体作動薬との併用:リラグルチド含有製品や他のGLP-1受容体作動薬と併用しないこと。

 

その他の主な注意(警告・禁忌・重要な基本的注意より)

甲状腺C細胞腫瘍のリスク:動物試験で甲状腺C細胞腫瘍が認められており、ヒトへの関連性は不明です。甲状腺髄様癌(MTC)の既往歴または家族歴がある患者、あるいは多発性内分泌腫瘍2型(MEN 2)の患者は禁忌です。

急性膵炎:持続的な激しい腹痛(背中に放散することがある)、嘔吐などの急性膵炎の徴候や症状が疑われる場合は、直ちに投与を中止し、適切な処置を開始すること。

胆嚢疾患:胆石症や胆嚢炎などの急性胆嚢疾患のリスクが増加する可能性があります。

低血糖:2型糖尿病の成人患者がインスリンまたはスルホニル尿素剤を併用している場合、低血糖のリスクが増加します。併用薬の減量を考慮する必要があります。

心拍数の増加:安静時の心拍数増加が認められることがあります。持続的な心拍数の増加がみられる場合は、投与を中止すること。

重度の過敏症反応:アナフィラキシーや血管浮腫などの重度の過敏症反応が報告されています。症状が出た場合は直ちに投与を中止し、医療機関に連絡すること。

腎機能障害:悪心、嘔吐、下痢による脱水から、急性腎不全や慢性腎不全の悪化が報告されています。

 

サクセンダの主な副作用(成人の場合)

悪心、下痢、便秘、嘔吐、注射部位の赤み、頭痛、低血糖(2型糖尿病患者の場合)、消化不良、疲労、めまい、腹痛、血中リパーゼ増加、上腹部痛など

 

サクセンダの重大な副作用

甲状腺C細胞腫瘍のリスク(MTC含む)

・急性膵炎

・急性胆嚢疾患(胆石症、胆嚢炎など)

・低血糖

・心拍数の増加

・腎機能障害(急性腎不全など)

・重度の過敏症反応(アナフィラキシー、血管浮腫など)

・自殺行動および自殺念慮

 

※その他使用上の注意等は、必ず医師にご確認ください。

 

サクセンダのオンライン診療との相性

サクセンダは、1日1回の自己注射が必要となる製剤であり、慢性的な体重管理のために長期的な使用が想定されます。しかし、重篤な副作用(急性膵炎、甲状腺腫瘍のリスクなど)があることや、正確な自己注射技術の習得が必要となるため、サクセンダの導入や継続にあたっては、医師による適切な患者選定、十分な注射指導、および厳格な管理指導の下で行われる必要があります。

本品を用いたオンライン診療は、多忙な患者さんの服薬アドヒアランス(治療の継続)の向上を支えることが期待されますが、現時点(※)においては、日本においては未承認の医薬品であり、その使用については慎重に判断されるべきでしょう。

※2025年10月末現在

参考文献】[1] Saxenda (liraglutide) injection [label] (U.S. Food and Drug Administration)

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