ゼップバウンド皮下注(一般名:チルゼパチド)とは
- 【読み】 ぜっぷばうんどひかちゅう
- 【呼称】
概要
ゼップバウンド皮下注は、チルゼパチドを有効成分とする、肥満症治療薬です。体内のGIP(グルコース依存性インスリントロピックポリペプチド)とGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)という2種類のインクレチンホルモンの受容体に作用する、持続性GIP/GLP-1受容体作動薬です。食欲を抑え、血糖値を下げる作用により、体重減少を促します。
本剤は自己注射可能な製剤で、週に1回皮下注射します。投与量が段階的に増量される6種類のキット(2.5mg、5mg、7.5mg、10mg、12.5mg、15mg)があります。
対象となる疾病・症状
肥満症
ただし、以下のいずれかの条件を満たす場合に限ります。
・BMIが27以上であり、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し、かつ2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する
・BMIが35以上
ゼップバウンドに期待できる効能・効果
肥満症の改善
ゼップバウンドの使用方法
通常、成人には、チルゼパチドとして週1回2.5mgから開始し、4週間の間隔で2.5mgずつ増量し、週1回10mgを皮下注射します。なお、患者の状態に応じて適宜増減しますが、週1回5mgまで減量、又は4週間以上の間隔で2.5mgずつ週1回15mgまで増量できます。
用法・用量に関する使用上の注意
(1)本剤は週1回投与する薬剤であり、同一曜日に投与すること。
(2)投与を忘れた場合は、次回投与までの期間が3日間(72時間)以上であれば、気づいた時点で直ちに投与し、その後はあらかじめ定めた曜日に投与すること。
(3)次回投与までの期間が3日間(72時間)未満であれば投与せず、次のあらかじめ定めた曜日に投与すること。
(4)週1回投与の曜日を変更する必要がある場合は、前回投与から少なくとも3日間(72時間)以上間隔を空けること。
(5)胃腸障害等の発現により忍容性が得られない患者では減量又は漸増の延期を考慮すること。
その他の主な注意
・本剤投与中は、食事療法・運動療法を継続すること。定期的に体重、血糖、血圧、脂質等を確認し、3~4ヵ月間投与しても改善傾向が認められない場合には、本剤の投与を中止すること。
・急性膵炎の初期症状(嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛等)があらわれた場合は、直ちに使用を中止し、速やかに医師の診断を受けるよう指導すること。
・下痢、嘔吐から脱水を続発し、急性腎障害に至るおそれがあるため、患者の状態に注意すること。
・妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。また、妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後1ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。
・経口避妊薬と併用する場合、特に投与開始初期又は漸増後初期では経口避妊薬の効果を減弱させるおそれがあるため、注意すること。
・あらかじめ肥満症治療の基本である食事療法・運動療法を行っても、十分な効果が得られない場合で、薬物治療の対象として適切と判断された患者のみを対象とすること。
ゼップバウンドの主な副作用
悪心、下痢、嘔吐、便秘、食欲減退、浮動性めまい、疲労、おくび(げっぷ)、胃食道逆流性疾患など
ゼップバウンドの重大な副作用
・低血糖(脱力感、高度の空腹感、冷汗、動悸、めまい等)
・急性膵炎(嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛等)
・胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸
・アナフィラキシー反応(頻度不明)
・血管浮腫(頻度不明)
・イレウス(腸閉塞を含む。高度の便秘、腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐等)
※警告・禁忌を含む使用上の注意等は、必ず製品添付文書をご確認ください。
ゼップバウンドのオンライン診療との相性
ゼップバウンドによる肥満症治療は、治療の基本である食事療法・運動療法の継続が大前提であり、定期的な体重、血糖、血圧、脂質などの確認が必要です。
オンライン診療サービスは、定期的な通院が必要な治療において、患者さんの通院負担の軽減に役立ちます。特に、体重管理は長期的な継続が重要となるため、忙しい方や、クリニックから遠方に住む方にとって、オンラインでの診察は服薬アドヒアランス(治療の継続)の向上を支えることが期待されます。
しかし、ゼップバウンドは、重篤な副作用として急性膵炎や低血糖なども報告されているため、オンライン診療で導入・継続する場合も、医師による適切な患者選定、投与方法や副作用に関する十分な指導、そして厳格な管理指導の下で実施される必要があります。
【参考文献】 ゼップバウンド皮下注 添付文書(KEGG MEDICUS 医療用医薬品 : ゼップバウンド)
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